企画物部屋

□拍手文
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『彼らの節分』










「鬼は外。」

「おにはーそとー。」

「ちゃんとやれよ。なんでそんな棒読みなんだ、大宮は。」

「福は内。」

「ふくはーうちー。」

「おーい、大宮ぁ…」

「あ、鬼が怒った。」

節分。
しかしやる気のない二人にやる気が出ない。
好きで鬼の役なのではないがここまでやる気の無い相手では張り合いはマイナスだ。

「だって、こんなんでやる気出せってのが無理じゃん。」

「歳の数だけ食うのも苦労なんだから。」

リーダーが豆を数えながら食べる用意を始めるが、俺達より3つ多いだけだろ。
事の発端は、ミスターピーナッツ。





「豆まきしよう!」

「豆まき?」

「お前、それ落花生じゃん。」

「しかも殻付き。」

「豆まき用のじゃないにしてもせめて剥いたの持って来なさいよ。」

正論や疑問が飛ぶが、全て無視。
まるで聞いちゃいないそいつはあたかも正論と思われる台詞を言い放った。

「何言ってんの、後で食べるんだから殻付いてないと駄目でしょ。」

おいおい、食うのかよ。

「鬼は…松潤ね。」

「なんで?」





よく分からないまま発案者は鬼の面を作って翔さんと出ていってしまった。
しかもなんだこの不細工な鬼は。
架空の生き物だと分かってはいるがこの世のものとは思えない。
櫻井画伯、恐るべし。

「あー、疲れて来た。殻剥きで挟むと飛び散るし。」

「ニノそれ散らかし過ぎだろ。」

「潤くんだって俺より散らかしてんじゃん。」

「何で俺達大人しく相葉さんの言うこと聞いてんだろ。」

「言えてる。」

やっと半分くらい。
砕けて無事に取り出せなかった豆達もいくらか散らばっている。

「よし。」

「終わったの?」

「うん。」

俺達と違って全く散らかってなくて、豆の殻は綺麗に集められていた。

「俺のもやってよ。」

ニノに先越された。
仕方ないから

「どんな力加減で挟めばいいの?」

と聞くと

「……素手。」

と返された。
素手か。
指先を見つめていると次々にニノの落花生を割って行く。
相変わらず器用な事で。
後で剥いて貰おうと、俺は自分の豆を剥くのを諦めた。





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120203
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