参画物部屋

□Several O
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被害者の会、発足(デビ二関係各位)










「では、被害者の会を発足…」

慣れたように早々に話し出す領の言葉を健太が慌てて止めに入った。

「待って。」

「何故ですか。」

「貴方が言うと、シャレにならない。」

集まっているのは、アイドル、弁護士、教育番組のおにいさん、人外…(?)、防犯コンサルタント…(?)、まで様々だ。
仮に、この中で他の誰かが言ってもシャレにならないだろうけど、特にこの人が言うとかなり大規模な事件のような気がしてくる。
仕返しが待ってんじゃないかな、って心配になるくらいだ。
どうしたものか、ここは仕切るしかないのか、と考えていると、またも先を越された。

「まず、被害状況の情報の共有を…」

「待ってって、そんな大袈裟な。」

またも慣れたように話しだす領を、健太が止める。

「大袈裟?被害の内容に大小あろうとも被害は被害です。そのために状況を確認するのでしょう。」

そう言われて、言い返すことは出来なかった。確かにその通りだからだ。
被害を語り合おうということでここに集まったのだからまずそこからだ。
間違いはない。だからこそ、深刻な気がしてしまうのも確か。

「先日、コスプレで事務所に来ました。メイドだそうです。」

領の言葉を聞いて、径が思い出したように話しだす。

「そういえば、給湯室で裸エプロンをしていた。」

それはコスプレというのだろうか。すると今度はアイドルが口を開く。

「まだマシだって。何故か赤ふんどしなんだから。」

彼に至ってはコスプレですらない。下着の話だ。しかしそこで終わらない。
更にアイドルらしからぬ発言が続いた。

「で、麻縄とローソク持ってきた。古風だよね。」

古風とか。そう言う問題だろうか。というか、彼はどうも論点がずれているようだ。
被害を受けたと感じているのか、そもそも何の集まりか分かって参加しているのか、色々怪しい。

「面白そうですね。こちらは洋風でしたので手錠持参でした。」

「手錠の型は?」

『錠』というキーワードに反応した径。しかし、とても防犯のためとは思えない。

「ありきたり。」

そしてややマニアックな質問につまらなそうに答える領。

「そこ2人、怖い!」

慌てて止めたが、恐ろしい感性を持っているのは領と径だけではなかった。

「拷問なら任せろ。」

太郎は無邪気だから怖い。磔に引きまわし…って。水責め…って。火あぶり…って。
あいつの拷問の解釈は、ベクトルが違う。いや、正しいのは、こっちの無邪気な奴の方なんだけど、だから余計に怖い。
話を元に戻そう。具体的な被害だ。

「俺は、とりあえず住み付かれていることかな。」

「その気持ちは分かります。住み込みと住み付きは大いに違う。」

「健太も領も防犯が甘いからだ。」

径が呆れた顔をする。
流石は防犯コンサルタント。それはごもっともな意見だ。
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