気象2
□オフィスラブ
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強制オフィスラブ
「付き合って下さい。」と言われた。
その驚きに、「NO」と言うこともできなかった。「YES」とも言えなかったけど。
結局何も答える事は出来なかった。
「で。」
「つまり。」
「カップル誕生!!」
「イエイ!」
「やったね!」
何故か翔ちゃんと相葉さんと潤くんがハイタッチしている。
待て待て。何でそうハイタッチなんか出来るよ。他人事だからって。
腹を抱えて大笑いする3人を少しの恨みを込めて睨んだ。
何が何で…。何が…何が悲しくて楽しくて、世間様に俺の公式設定として男と付き合っていますって公表しなけりゃならない。
いいや、まだこれはいい。仕事だ。仕事上の設定だ。
だが何が寂しくてその男と暮らさなきゃならない。
営業にしても、そこまで徹底させる意味が分からない。
しかし相方は強かった。
「よろしくね。俺は勝手にしてるから別に五月蠅くてもいいし…あ、人が来る時だけ言ってくれたらいいから。」
その適応力を少し分けて貰いたい。
ま、足掻いても仕方ない。どのみち決まった事だ。公表される日も近い。
「どっちがどっち?」
「さぁ、リーダーどうする?」
「好きな方でいいよ。エスコートする?される?」
「貴方がエスコートできるとは思えない。」
「ダメ男かドジっ子、どっちがオイシイかなぁ。」
「組み合わせとしてクールなニノか可愛いニノ?どっちも捨てがたいよねぇ。」
だからその適応力…。
仕事中に仕事してないみたいなのに、既に俺より仕事モード。
当事者ではない翔さんがキラキラ輝いているのは目の錯覚だと思いたい。
「どっちが女役?」
「それもおいしい方で…つか、リバーシブルなんじゃない?」
もう、疲れた。会話だけで疲れた。
適応力と前向き過ぎなこの人に疲れた。
数日後、数多の雑誌や新聞の表紙を飾った俺達。
予定されていた緊急会見。
すらすらと、どこもつっかえることなく俺に対する愛を語るこの人。
いつもならありえない。誰もそれに気付かないのはあまりにもあまりな内容だからだろう。
「俺、10回聞かれた。」
「4組捉まった。」
「待ち伏せとかさぁー。」
迷惑そう。というより笑みなんだけど。
「大体何で俺?翔ちゃんとアナタ達の誰かで良かったんじゃない?」
「俺、忙しいし、キャスターだし、浮いた話はNGだし、大宮sk好きだし…」
最後、余計なひと言あったかな。
「サイズ的に良い感じじゃない?」
「今までの行いとか。」
そりゃ、大宮は本気の悪ふざけしてきましたよ?その分の始末?
にしてもこれはちょっと…。
『嵐、大宮に熱愛発覚』とかふざけんな。
しかも営業はしっかりやれ、とか。鬼だろ。
この人は顔色が変わったりとかしないから、赤くなったりしないといけないのは必然的に俺。
その度に周りにいじられて、そいうしてやっとリーダーが「俺のだから」って一言。
明らかに負担が大きいのは俺の様な気がする。
悪いことばっかりみたいだな。1個くらい良い事があるだろうと考えて、あったのはごはんに行くようになったこと。この人の奢りで。
他は、店に着くまで外だからなるだけ引っ付いて歩いて、個室に入る。
入ってしまえば今までと同じなんだけどな。
ただ、これを別の人と行くとその話が出る度に嫉妬しなきゃなんないんだから。