企画物部屋

□山積みの宿題
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夏休みの、終わりから2日目。
毎年、8月30日は子どもたち…児童・生徒と呼ばれる年代の人は、人口が減ったみたいに姿を消す。
最後の1日を思いっきり遊ぶ為に残った宿題を片付けているんだろうか。

「リーダーってさ、宿題は終わらないタイプだった?」

ふとそう思って尋ねると、彼は少し考えた後、カレンダーを眺めて理解したのか思い出し笑いをした。

「図工と美術と絵日記以外は、ね。31日になって慌ててやるんだけど、結局終わらなったりして。」

「何か想像出来る。」

「潤は?」

「俺も。慌てて最後に片づけてた。」

夏休み前とか、夏休み始まってすぐとかはいいんだ。
早く片付けようって学校でやってたからその続きで手は動く。
だけど少しすると駄目。この数日で殆ど出来たんだから、って先延ばし先延ばしにしてしまう。
それで結局最後に焦ったり苛々したりするんだけど自業自得だ。

「翔くんとニノは要領良さそう。」

「夏休み前に終わってるタイプだよな。」



そんな事を話しながらやって来た、いつもより静かな公園でアイスを食べていた。
8月の後半は、とにかく暑いしセミが五月蠅い。

「しっかし、よく鳴くよな。」

「それが仕事だからね。…そういえばスズメの声ってさ」

「スズメ?」

「五月蠅いよね。」

言われてみれば、五月蠅く、ないこともない。
あんな街中でも、機械音と勘違いするくらい五月蠅いと感じる時もある。

「あれ、年々五月蠅くなってるらしいよ。」

「へぇ。」

「都会限定で。」

「へぇぇ。」

「もしかするとさ、」

「セミももっと五月蠅くなるかも?」

うん、と頷いたリーダー。セミがこれ以上五月蠅くなるのは勘弁してほしい。
暑さは何倍に感じるんだろう。
まぁ、今年は仕事、仕事、仕事、大仕事、で暑いも五月蠅いも感じている余裕は無かったけど。
恐らく今日も猛暑日だ。
よく出掛けよう、なんて発想になったよな。
付いて来た俺も俺なんだけど。
アイス食べてるのに、何でこんなに暑いんだ。
時刻はまもなく17時になろうとしているのに。
ここで体力づくりとかしたら、ぶっ倒れるだろうな。
そんな事を考えていた時だった。

「よし。」

「ん?」

まさかとは思うけど、ランニングに行こうとか言い出さないよな?

「行こう。」

「どこに?」

立ち上がって手を差し出すから、とりあえずランニングではないらしい。
それに安堵しながらその手を掴む。
夏場だけあって、手繋ぐと相手の体温分以上に暑さを感じる。
でも、こうやって堂々と手を繋げるってあんまりないから嬉しい。
流石にそのまま道を歩いて行く訳にはいかないから、公園の出口まで行って手を離した。
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