企画物部屋

□人は人 自分は自分
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この頃、自分がよく分からない。

コーヒーを煎れながらの独り言。
どうやらそれを聞き逃さなかったらしい。
さっきまでボーッとしていたリーダーがクソ真面目な顔でこっちを向いた。

「どういうこと。」

「いや、とりあえず自分でやってみるよ。」

「そう…。分かった。」



あの時はそれで一旦保留となった話。
だが、今もまだ解決出来ていなかった。
自分がよく分からない。
2回目ともなると、流石に見逃しは無しだ。

「観念して、話しなさい。」

「…はい。」

どっから話すか。
どこまで遡って話したらいいのか。
考えを巡らせながらコーヒーを煎れていたら蒸らすのに時間を起きすぎた。
苦そう。
ミルクとシロップを一緒に持って行くと

「珍しいね、濃いんだ?」

と笑われた。
よく分かっていらっしゃる。
俺はミルクを入れるけど、リーダーはブラック。
この人はいつもブラック。
濃くても薄くても酸味の具合がどうであってもいつもブラック。
で、「うまい」って言う。
本当か?

「何から話すか決まった?」

「1番初めから。」

「ふふっ、潤の12年か…。」

笑い事ではないんだけどね。
ソファに座ってるリーダーにに一つを手渡し、俺は床に腰を下ろして自分のコーヒーにミルクを入れた。
スプーンで混ぜていると色が変わって、うん、これなら良さそうだ。
背もたれ代わりに、ソファに凭れて一口…まろやかになったけど苦みが残ってる。
上から手が伸びて来て、眉間をぐりぐりされた。

「何だよ。」

「眉間、皺。」

「せめてカップ置いてからにしろよ…。」

「ははっ、ごめん。」

次はぽんぽん、と頭を撫でた。
甘やかされてんな、俺。
カップを置いてため息を一つ。

「…最初、お笑いだったじゃん。」

「うん。」

「自分で言うのもアレだけど、次は顔で、ドSで、ツッコミみたいな…。」

でも今は、笑いは雅紀、イケメンの翔さん、ツッコミはニノ、そしてこの頃よくキレるリーダー。
それぞれの役割分担、というかキャラ分け。
他人のキャラが立つ程に、自分のそれがよく分からなくなった。
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