気象

□雨降りの火曜日
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「雨だね。」

「うん。」

でももしかしたら晴れてくるかも!」

「…今日は諦めた方がいい。」

天気予報にもめげず、昨日からの雨にも諦めず用意したのに。
釣り道具一式。
二人で船釣りの予定だったのに。

「ここで負けるなんてっ…」

「大袈裟だなぁ。」

だって、先週から楽しみにしていたのに。
ぐーっと伸びると調度背もたれの上に頭が乗る高さ。
隣に座っているリーダーが雨を告げる予報をザッピングしている。
気配だから分からないけど、朝早いし二度寝するのかな。

「リーダー?」

「なに?」

「何でくっつくの、ですか?」

「何で離れるの?」

少し離れて座る、って普通だと思う。
いつも違ったっけ。

「俺さぁ」

「ん?」

リーダーを見ると難しそうな顔をしていた。

「多分、雅紀になら喰われてもいいかもしれない。」

「…へ?」

「なんつーか、大丈夫な気がする。」

意味深な発言だが、何が大丈夫だというのだろう。
嬉しい事は嬉しいが、そんな気になる日はきっと来ない。

「俺は、くっついたり…その、するのも…リーダーとなら嬉しいんだけど…」

「けど?」

「けど…喰われてたい。」

なんだろうこの会話。
いつ天気予報が性癖の暴露になったんだ。

「片方ってこと?」

「うー、うん。リーダーはどっちでもいい人なの?」

「まさか。」

話の流れでそう思ったのだがどうやら違うらしい。

「雅紀なら大丈夫って思ったの。」

「え…」

どうしよう。
今から喰ってくれと言われたら。
そんなの無理だ。

「それは困る。」

「あ、可能性の話な。」

なんだ、可能性か。

「よかったぁ…。」

「何か、難しいな。」

「俺?」

リーダーが頷く。
どっちがどっちでもいいって、それは違う。
想像するだけで違和感を感じた。
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