気象
□ごく自然にヴァルゴ
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今年も忙しい季節がやって来た。
コンサート。
それと同時進行で舞台が控えている。
ドラマと違ってシーンごとの撮影の合間、なんてものがないから最初から通しで集中し続けなければならない。
それで最近はゆっくりする時間すらない。
今更だけど、本気で腹に力入れて喋るのってかなり難しい。
なんか、やっても力が入りきってない感じがする。
台本から顔を上げると雑誌読むのか寝るのか怪しい我等がリーダー、と同じくその左隣で寝るのかゲームするのか怪しいニノが居た。
そういえば2人はこのあと取材があるのかと思い出した。
秋のスペシャルドラマか。
リーダーは映画もあるし忙しくなるんだろうな。
忙しいのはそれぞれお互い様ということだな。
超絶、じゃない、マキシマム忙しい櫻井翔は多分既に仕事に出たのだろう。
急にリーダーがガバッと起き上がった。
「ニノ、時間!」
「…んー…やだ。」
「やだじゃない、早く起きろ。」
10分くらいかけてニノを追い出したリーダーは再び昼寝を始めた。
するとそっと楽屋の扉が開かれてニノが顔を覗かせた。
「なに?」
「あのさ、潤くん…?」
「うん?」
「5時45分になったらリーダー起こしてね。55分に起きたら間に合うから。」
頷いてみたものの自信がない。
今まで彼を起こすのはニノか翔さんの役目で今日が初仕事ではないだろうか。
そんな不安を見越してか続ける。
「自分の事になるとてんで活動しないから、適当に理由作れば起きる……と思う。」
「何だよその間は。」
「潤くんに任せて不安な事が世の中にあるとはね。世界は広い、人生は長い。」
「お前達観してんなぁ。」
なんて感心している内に失礼な言い草に文句を挟む隙を奪われた。
ある意味感心させられた。
時刻はまだ5時15分。
二人取り残されてからリーダーを起こすという重要任務が気掛かりで殆ど集中出来ていなかった。
さっきみたいにパッと起きてくれたらいいのに。
…寧ろパッと起きれるのになんでいつも起きないのか甚だ疑問だ。