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土方誕生日2014
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「誕生日何か欲しいものありますかィ?」
「…何を企んでやがる」
「失礼な人ですねィ。何も企んでなんかいやせんよ」
今し方、二人で熱を分けあったが、この二人に甘い空気等ない。
徐に口を開けた沖田に土方は眉をしかめ、沖田もそれを特に気にした様子もなく飄々と話す。
まるで今までの時間などなかったかのような様子だ。
「アンタに借りを作るのはまっぴら御免被るって事で、さぁ何が欲しいか言ってみやがれ」
借りと言うのは昨年の沖田の誕生日の事だろうか、それともクリスマスの事か、むしろ日々の中の事かもしれないが土方にはどれを指しているのか分からなかった。
しかしまぁいつもは自分を見る度食ってかかる若い恋人からの嬉しい申し出だ、ここは少しばかり信じてやろうかと思い直し、申し出の内容に頭を働かせた。
金で買える物であれば自分で手に入れられるし、特別欲しい物もない。
念願叶って可愛い恋人もいる、信頼のおける友人や部下にも恵まれている。
はて、他に何が欲しいかと考えたがやはり何も思い浮かばず目の前の人物を見た。
そこには土方が何年も欲していた少年がおり、情事後らしく寝間着ははだけて白い肌が露出している。
そこで、はた、と思考を巡らせたものの、すぐに答えは出た。
「お前が欲しい」
「は?」
「俺はお前の身も心も欲しい」
「…ついに頭の中わいちまったんですかィ?」
「まぁ体は今頂いたしな、あとは心だな」
沖田の悪態を聞こえなかったかのように土方は言葉を被せる。
「指でも切って送れって事ですかィ」
「そこまでしなくて良いんだよ、もっとよー…」
ここにきて歯切れの悪い土方に沖田は答えを分かりつつもすぐには口にしなかった。
大きな瞳だけは土方を捉えて離さない。
効果的に使ってやろうとゆっくりと体を動かし、未だはっきりと欲しいものが言えない土方の耳元で出来うる限り甘い声で囁くように、そして少し掠れた声で与える。
「お慕い、申しております…」
「そ、総悟っ…」
煌びやかな着物を纏っている訳でもないのにそこに見えるような気がした。
悪戯だということも分かっているのに体の熱が上昇している。
土方ががばりと細い体にのし掛かればニヤリと笑うその顔さえ可愛いと、熱にやられた頭で思うのだ。
「…簡単なヤローですねィ」
「…ウルセー」
「ほら、ヤりてぇんでしょ?だったらさっさとヤりましょうぜ。こう上にいられると重たくてかなわねェ」
そう可愛くない事を赤く染まった顔で言っている事を本人は気付いていないのだろう。
とんでもないプレゼントを貰ってしまった、と土方は緩んだ顔を沖田に近付けた。








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土方さん誕生日おめでとうございます!

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