その他ゲーム系

□膝小僧
5ページ/7ページ


 眠りについて、どれだけの時間が経った頃だろうか。

 俺は、寝苦しさに目を覚ました。

 エアコンにタイマーをかけ、時間が経ったら切る設定にしていたから、室内の暑さで目覚めたのだろうと思った。

 そこで、エアコンの方に目を向けると、まだ運転中を示す緑色のランプがついていて、僅かに稼動音が聞こえる。

 室内は確かにひんやりしていて、暑いということはなかった。




 では、何故…?




 その時、俺はやっと寝ぼけ眼から完全に覚醒して、俺の腕に何かが乗っているのを感じた。

 真っ暗な視界の中、それが一体、何であるのか全く見えない。

 腕を動かそうと試みるも、ずっしりとした重みがそれを許さない。

 黒い塊は時々、モゾモゾ動いて、生暖かい息を吐き出している。

 まさか、あんな子供だましの百物語で本当に、霊か物の怪を呼び寄せたのか?

 それが、後を付いて来て、俺の隣にいるのでは……。

 一気に脂汗が滲み出し、相手の様子を見ながらそっと枕もとの明りに手を伸ばす。

『こういった時、金縛りにあうものだが、体は乗っかかられている腕以外は動くな…』

 鼓動が煩いほどにその速度を早めている。

 耳元で鳴っているかと思うほど、ドクンドクンと脈打ちだす。

 そして、いよいよ手が明りのスイッチに届き、俺の周囲がパッと照らされた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ