その他ゲーム系
□膝小僧
2ページ/7ページ
夏休みも半ばの頃、それはポストに入っていた。
《真夏の肝試し!!!百物語☆百話目を話した時、聞いた時、何かが起こる…!!!場所:公民館 時間……》
いかにも手作り感溢れるマジックでそう書かれた紙を、最初に見つけたのは純也だった。
そして、興味津々と言った顔で食い入るように何度もそれを眺めていた。
俺はというと、そんな純也の後ろから少しだけ覗き見して、何の興味沸かず、それよりもと図書館で借りてきた文献を読んでいた。
「ねえねえ、母さんが行っても良いって!!兄さんも一緒に行くよね!?」
子犬みたいにキラキラと瞳を輝かせて、純也は俺の服の袖を引っ張った。
純也に頼りにされるのは嬉しいが、今はそんな与太話に付き合うより、借りてきた本を読み終えたかった。
「俺は行かな……」
そこまで言った所で突然、満面の笑顔を浮かべた叔母さんが、
「そうね、お兄ちゃんも一緒なら、夜道も危なくないわね」
「え、叔母さん?」
「それに、一緒の方が純也も嬉しいわよねー?」
「うん!!」
「あら、大変、もうすぐ時間だわ。行ってらっしゃーい」
「……………行ってきます」
これが、母親の迫力というものなのか…。
俺は一切、口を挟むことが出来ず、強制的としていえない状態で純也と一緒に公民館へと向かった。