その他ゲーム系

□名案
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 どうしてこんな簡単なことに、すぐに気付けなかった。

 本と資料だけを相手にしているせいで、頭が硬くなっていたに違いない。

 本当に、実に簡単なことだというのに。

 気付かせてくれたのは、日頃、慣れ親しみ、そして研究対象でも都市伝説。

 都市伝説内では、それの本来の目的は、全く別なところにあった。

 だから、見落としていたのかもしれない。

 まさしく盲点!

 作業を終えたのは、つい先日だ。

 まず、何が大変だったって、道具の持ちこみだった。

 普段、滅多に帰らないマンションに、毎晩必ず帰る。

 管理人以外とは、ろくに顔を合わせたこともなかったから、擦れ違った住人に少しだけ訝しがられた。

 だが、都会の良いところ。

 他人がどうであれ、自分に関係のないならばどうでも良いという気質。

 多少、挨拶を交わしただけで何の詮索もされなかった。

 次の作業が、最も大変だった。

 フィールドワークもしているし、何よりまだまだ若いと思っていたが、体は思ったよりも歳をとっていたようだ。

 これから、少しでも良いから体力作りに励んだ方が良いだろう。

 苦労はしたが、終えた時の達成感は何物にも例え難かった。

 こんなにも、満たされたことは未だかつてない。

 そして、これから訪れるであろう、素晴らしい日々のことを思うと。

 笑みが絶えなくて困る。
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