その他ゲーム系

□恋心
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 新しい部署に配属され、半年が経った。

 自分より年下の上司で最初は違和感があったが、今では彼が上司であるということを感謝している。

 大学出のキャリア組だが、変に威張っていないし、学歴を鼻にかけてもいない。

 部下にあれこれ言いつけて、自分は動かないという無能でもない。

 知識幅は広く、フットワークも軽い。

 何より、被害者の思いを常に大切にしているところに好感がもてる。

 それに自身が間違っていれば、素直に謝れることの出きる人物はそう滅多にはいない。

 ただ、体が自分の半分以下の細さであるのが気にかかる。

 筋肉がない訳ではないし、体力不足である訳でもないのだが…下手をすれば犬童警部よりも腰が細いように思える。

 お人好しなところも、長所といえば長所だが短所でもある。

 いつぞやは、あの得体の知れない道明寺なる人物も、事件解決のためとは言え信用して何回も会っていたようだし…。

「むっ、いかんいかん!」

 頬を叩き、緩みきった表情に喝を入れた。

 最近、彼のことを考えるとつい口元が緩んでしまう。

 べ、別に疚しいことを考えているわけではない!

 指が細かったとか、肌が白かったとか…今日も、綺麗な笑顔だったなとか。

 そこまで考え、はっとして鏡を見ると口元がまたもやにやけていた。
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