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□永遠の別離
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いつかきっと、また会える。


そう信じて一年間頑張って生きてきたのに。


あの悪魔と同じ空間にいた貴方。
…なのに、あたしの目の前にいるのは貴方じゃなくてあの女悪魔だった。


女悪魔は、あたしの顔を見るなり口端を引き上げて。
途端、あたしの脳裏に、あの記憶が蘇る。


あたしが目を見開いたのと同時に、女悪魔の顔がニヤリと歪む。
それは、あたしが思い至った事を肯定するには充分だった。


『お前もすぐに、シノンの元に送ってやる。』

斬りつけたクレスを飛び越えてあたしの耳元で囁かれた言葉が、深く胸に突き刺さる。
感情が爆発して、いつも以上の魔力が迸った。
驚いて手傷を追った悪魔は、クレスの手によって絶命する。
…なのにあたしの心は、ちっとも晴れなかった。


――もう、二度とシノンには会えない――…その事実が、あったから…。


泣き叫びそうになるのを必死に堪えて、いつもの軽口を叩く。
牢屋から出て、宿屋に入って、みんなが寝静まった時、初めてあたしの口から嗚咽が漏れた。

ほうきを掴んで、慌てて窓から外へと飛び出す。
アルヴァニスタの南の橋を越えて、森の中に入って。


あたしはそこでほうきから飛び降りて、地面へと崩れ落ちた。

「うわああああぁぁんっ!!!!」

シノン、シノン…!!!あたしまだ、貴方に気持ちを伝えてないよ。
大好きだって、言えてないんだよ。
次に会った時、絶対に言おうって決めてたのに。
…もう二度と、伝えられないなんて。


どれだけ泣き叫んでも、胸の痛みは少しも消えない。
泣いて泣いて、涙が涸れるまで泣き叫んで。
宿屋に戻ったのは、もう真夜中だった。

街灯に照らされながら、虚ろな眼差しで宿屋を見つめると、人影が見えた。
体中に刺青をしていて、シノンによく似た銀髪の、召喚師――。

「……クラース……。」

「……目をよく冷やして寝ないと、明日腫れるぞ。」

きっとあの時、あの悪魔の言葉が聞こえていたんだ。
だからあたしが抜け出した事に気付いて、待っててくれたんだ。
何も聞かずに頭をポンポンと撫でてくれるクラースに、また涙が零れそうになる。

「……あんがと………。」

「…なぁに、気にするな。」

いつも通りに接してくれるクラースに、痛みが和らいだ気がした。




ねえ、シノン。
もう二度と会えないけど。
あたしは貴方に、本気で恋してたんだよ。
きっとそっちに、リアとモールも…ミリアムさんもいるだろうから。
今度こそ、楽しく過ごしてね。
また会えるその日まで、あたしも楽しく過ごすから。

…大好きだったよシノン。


          Fin


小説、真紅の瞳にめちゃくちゃ影響されております;;いつも明るくて、ムードメーカーなアーチェですが、心にはたくさん傷を負ってると思うんですよね…;;
もちろんアーチェだけでなく、クラースさん以外のメンバーは、全員身近な人を亡くしているからTOPはほんま切ないです;;
大人なクラースさんには、大まかな事情を知っててもらいたくてこんな始まりになりましたが、決してクラアーではありません(笑)
うちが書くアーチェは、こんな想いを心に抱いてます。
なので旅の間はチェスアーというよりチェス→→→←アーな感じになると思います;;
説明ばっかになってすみません!
ここまで読んでくださりありがとうございました!


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