FF駄文

□過去拍手駄文
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最近休息日らしい休息日を取っていなかったセシル達は、2日程休息日を取る事にした。
二泊できるよう宿を手配し、荷物を置いて近くの平原へと足を運ぶ。
赤みがかった葉っぱの、大自然に囲まれたその平原は、戦いに疲弊していた5人の心を癒やしてくれた。

「この辺で暫く自由時間にしようか。あまり遠くに行っちゃダメだよ。」

「はぁーい!」

セシルの言葉を聞いた途端、リディアがパタパタと森の方へと走っていく。
その嬉しさを滲ませた後ろ姿を見て、親(バカ)代わりを自負している3人は表情を綻ばせた。

「ははっ、あんなに嬉しそうに走って行っちゃったよ。」

「最近、戦いに明け暮れた日が続いていたからな…。」

「こんな綺麗な紅葉もあるし、天気もいいものね。体を動かしたら気持ちよさそうだわ。」

のほほんと会話をする3人だったが、ふといつも騒がしい男…エブラーナ王国王子、エッジが会話に入ってこない事に気付く。

「今日は静かだねエッジ…ってあれ?」

セシルが後ろを振り向いてそう言うも、エッジの姿はどこにも見当たらなかった。
3人は顔を見合わせ、リディアが走って行った森へと目を向ける。
行き先も告げずに、リディアが森の中に入った途端、姿を消したエッジ。
親バカの勘だろうか。
…何故か、とてつもなく嫌な予感がした。

「…リディアの後をついていったって考えるのが自然だよね…?」

「…俺達に気付かれんようにって所が引っかかるな…。」

「…リディアの身が危険かもしれないわ…!!」

エッジがリディアに好意を抱いている事を知っている3人は、冷や汗を掻きながら顔を見合わせる。
如何に普段子供っぽくて騒がしくとも、彼は大人の男なのだ。
3人の目を盗んで、リディアに何か良からぬ事を…と企んでいるに違いない。
そう思い立った3人は、即座に森の方へと駆け出した。


◇◆◇◆◇


一方その頃リディアは、赤く色付き始めた紅葉を見て、キラキラと目を輝かせていた。

(すごいなぁ…ミストの村には、こんな木なかったもんね……。)

キョロキョロと辺りを見渡し、思わずリディアはニコニコと笑顔を浮かべる。
丁度その時、リディアの真上からガサガサと音がし、何かがリディアの目の前に降ってきた。

「きゃっ!?」

「おーっす!何やってんだ?」

降ってきた何かは華麗に着地し、軽い口調でリディアに話しかけてくる。
人当たりのいい笑顔を浮かべるその人物はエッジだった。
セシル達の読み通り、エッジはリディアが森に向かったのを確認して、後を追ってきたようである。
突然の登場にキョトンとするも、よく見知った仲間であるエッジに、リディアはあっさりと警戒心を解く。
そしてニコニコと笑顔を浮かべて、エッジの傍へと駆け寄った。

「何だエッジかぁ。何が降ってきたのかと思っちゃった!」

「何だとは失礼だろ!っと、何やってんだ?」

リディアの言い方にくってかかろうとするエッジだったが、慌ててもう一度問いかけを口にする。

(せっかくあいつらがいない、リディアと2人っきりっていう絶好のチャンスなんだ…口喧嘩なんかしてる暇はねぇ、絶対リディアをモノにしてやるぜ!)

…やはり、セシル達が心配した通りの事を考えているようだ。
いつもと様子がおかしいエッジに首を傾げながらも、リディアは素直にエッジの問いかけに答えた。

「えっとね、この季節は体を動かすのがいいってローザが言ってたの。だから景色いいし、お散歩しようかなって。エッジは?…って、どうしてテントなんか持ち歩いてるの?」

答えてからエッジの背中の荷物に目を向けて、再びリディアが首を逆に傾げる。
エッジは小さくガッツポーズをし、ニカリと笑顔を浮かべた。

「まぁちょっとな。それよりリディアよ、体動かすんなら俺と一緒に運動しねーか?」

「?いいけど…一緒にって何するの?」

やけにニコニコしたエッジにキョトンとし、リディアがジッとエッジを見つめる。
至近距離で見つめられ、エッジは内心激しく身悶えながら平常心を装った。

「だ、男女でやる運動だ。汗も掻くし、き、気持ちいいぜ。」

「じゃあ広い所の方がいいのかな?みんなと別れた場所に戻る?」

どもるエッジの曖昧な説明に疑問を抱く事もなく、リディアが踵を返す。
するとエッジは大慌てで、リディアの腕を掴んだ。

「あーっ!!いやいや、ここでいいここで!今、テント建てるからよ!!」

「テント??運動するのに、テントがいるの?」

「あ、ああ、まぁな。外でもいいけど、お前にゃちっと刺激が強いだろうし。」

「??そっか。」

首を傾げたまま何とか納得したリディアに、エッジがホッと息を吐く。
そしてリディアの腕を掴んだまま、背負っていたテントを下ろそうとした、が――。


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