FF駄文

□過去拍手駄文
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エッジが湖に飛び込んでから数分。
火をおこす為の木を集めに行ったリディアは、集め終えてローザの元へと戻ってきていた。

「これだけあれば大丈夫?」

「ええ、大丈夫よ。ありがとうリディア。」

リディアににこりと微笑みかけ、ローザはリディアが集めてきた木を丁寧に並べ始める。
そこにリディアが魔力を抑えたファイアを放てば、リディアの役目は終わりだった。

「ご苦労様、リディア。さ、後はゆっくりしててちょうだい。」

リディアに労いの言葉をかけ、ローザが昼食の支度を始める。
だがリディアはそこから離れず、ローザの周りをちょこちょこと歩き出した。

「?どうしたのリディア?」

「あのね、あっちの方、すっごくいっぱいお花が咲いてたんだ!ちょっと、見に行ってきていい?」

「もちろんよ。でももうすぐ用意できるから、あまり遅くならないでね。」

快く了承するローザに、リディアの顔がパァッと明るくなる。

「ありがとうローザ!ちょっと行ってくるね!」

弾んだ声でそう言うと、リディアは嬉しそうに駆け出して行った。

「…ローザ、少しリディアに甘いんじゃないか?」

跳ねるように駆け出していったリディアを微笑ましく見つめていると、背後から声をかけられる。
ローザはスッと後ろに視線を向け、声の主ににこりと笑いかけた。

「あらカイン。コテージ建てるのはもう終わったの?セシルは?」

「ああ、セシルなら王子様のタオルと着替えを用意してる。それより、リディアに料理も手伝わせて教えてやればよかったのに。」

「いいじゃない。あんなに嬉しそうだったんだもの。」

「それが甘いと言うんだ。」

カインが呆れたようにそう言うと、ローザが肩を竦める。
ローザは食料袋から野菜を取り出すと、そっとまな板の上に置いた。

「でもリディアは、こうして野菜の保存にも魔力を使っているでしょう?だからこういう時ぐらいゆっくりさせてあげたいのよ。」

「それはそうだが…そもそも、皆リディアには甘すぎ…」

「どうしたんだい?2人共。」

ローザの言い分もわかるが、リディアにも調理など一般的な事もできるようになってもらいたい。
そう思ったカインが口を開きかけると、丁度セシルがコテージから顔を覗かせた。
ローザ以上にリディアに甘い親バカの登場に、カインはぐっと口を噤む(リディアの事になるとやたらと話が長くなるのだ)。

「何でもないわセシル。」

そんなカインを見て、ローザは思わずクスクスと笑いを零した。


それから数十分。
なるべく早く戻るよう言ったにも関わらず、リディアは中々戻ってこない。
カインは辺りを見渡しながら、ゆっくりと立ち上がった。

「…遅いな……そろそろ奴も戻る頃だろう。ちょっとその辺りを見てくる。」

そうセシルとローザに告げると、足早にリディアが向かった方へと歩いていく。
本人は隠しているつもりだろうが、その姿は心配で堪らないという様子を隠しきれておらず。

「カインだって充分甘いわよね。」

「?何がだい?」

苦笑しながら呟かれたローザの言葉に、セシルはキョトンと首を傾げた。




(…いない…。)

花畑に着いて辺りをキョロキョロ見渡すも、リディアの姿はどこにも見当たらない。

(まさか誰かに連れ去られた!?…いや、リディアがそう易々と……だが、あいつはすぐに人を信じるからな…騙されて…ん?)

1人もやもやと考えながら更に歩を進めると、大きな木の下の方から美しい緑色の髪が風に揺れたのが見えた。
カインはホッと安堵の息を吐くと、大股でそちらに向かっていく。
そしてリディアの横に立ち、叱ってやろうと口を開いた。

「こらリディア!すぐに戻るよう言われ…」

だがそこで、カインは思わず口を閉ざす。
リディアは木に寄りかかって、すやすやと寝息をたてていた。

「…こんな所で…リディア、おいリディア!!」

「んん…カイン……?」

カインが膝をついて声をかけると、リディアの目がうっすらと開く。
カインは呆れたようにため息を吐き、若干強い口調で声を発した。

「すぐ戻れと言われただろう。それから、こんな所で寝るんじゃない。ほら起きろ!」

「んー……もうちょっと……。」

リディアはうっすらと目を開くも、再び瞼を閉じてしまう。

「もうちょっとじゃない!大体、いつも言ってるだろう?もっと警戒心を持てと!こんな所で無防備に寝て、何かあったらどうす…」

「カインがいるから…守ってくれるから、大丈夫だもん……。」

「!!!」

叱るカインの言葉を遮り、リディアはカインの胸にすり寄りながらむにゃむにゃとそう呟いた。
二度も裏切った自分をここまで信頼し、更にはピタリとくっつかれて、カインの頬がカッと赤くなる。
リディアはカインの袖を引っ張り、横に座るよう促した。

「ここ、気持ちいいんだよ…だから後もうちょっとだけ…。」

「……。」

何も言うことが出来ず、カインは片手で口元を押さえながらリディアの横に腰を下ろす。
リディアは再び、穏やかな寝息をたて始めた。
カインがそっとリディアの頭を撫でれば、リディアはうっすらと笑みを浮かべ。

「全く…お前には適わんな…。」

温かな感情が胸を占める。
そうポツリと呟いて、カインもそのままソッと目を閉じた――。


おしまい…?


結局誰もがリディアには甘いということで^^


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