FF駄文
□過去拍手駄文
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こんな所で無防備に寝て、何かあったらどうするんだ。
そう問いかけて、返ってきた言葉に頬が赤くなったのがわかった。
…そんな風に言われたら、起こすに起こせないだろう。
甘えるように寄りかかって眠るお前に、胸が熱くなる。
そっと頭を撫でてやれば、幸せそうに微笑んで。
何故だか自分も幸せな気持ちになって、そのまま俺もゆっくりと目を閉じた――。
ある晴れた日。
朝から戦いに明け暮れていたセシル達は、そろそろ休憩を取ろうと綺麗な草原に訪れていた。
「おっせーよ!早く休憩したーいってぼやいてただろお子様!」
「なによぅ!何であたしにだけ言うのよぅ!」
一足先に辿り着いていたエッジは、腰に手を当ててリディアに意地悪く笑いかける。
自分にだけ言われた事とお子様という言葉に、リディアはプクリと頬を膨らませた。
2人のいつものやりとりに、3人は思わず苦笑いを零す。
頬を膨らませて拗ねるリディアだったが、すぐ真ん前に綺麗な湖がある事に気付いて笑顔を浮かべてそちらに駆け寄った。
「うわぁ!水がすっごく綺麗!」
「あっ、本当だね。魚もいっぱい泳いでる。」
リディアが湖に駆け寄ってすぐ、他の4人も湖の方へと歩いてきて顔を覗かせる。
目をキラキラ輝かせるリディアに優しい笑みを浮かべ、セシルも同意を述べた。
「お魚と言えば、最近お魚食べてないわよね。」
「よし、王子様出番だ。」
魚がいるというセシルのセリフに、ローザが口元に手を当ててポツリと呟く。
すると即座にカインがエッジの肩を叩き、顎で湖を指した。
「何でだよ!俺様だって疲れてんだ!!」
「ものすごく元気じゃないか。」
「そうよね、エッジならすいすいって取ってこれそうだし。」
「こ・と・わ・る!!」
ギャンギャン揉めだした3人(主にエッジとカイン)に、リディアはキョトンと首を傾げ、セシルは困ったように苦笑する。
だがこのままでは全く休憩にならない為、セシルは間に入って3人を宥めにかかった。
「ま、まぁまぁ…魚料理なら今日泊まる宿で食べればいいじゃないか。」
「そうだそうだ!」
「でもいい加減、干し肉のお料理も飽きてきたんだもの。」
「王子様の器用さなら、魚を捕るぐらい朝飯前だろう。」
「だーっ!お前は何でそう言う事言う事嫌みっぽいんだ!つーか王子様言うな!!」
セシルが宥めても、3人の揉め事は止まらない。
それどころかカインの言い方にエッジがキレそうになる始末だ。
セシルが僅かにオロオロし始めると、ローザが何か閃いたようににっこりと笑顔を浮かべた。
「ね、リディアもお魚、食べたいわよね?」
事の顛末をキョトンと眺めていたリディアに、唐突にローザが問いかける。
途端、エッジの体がピクリと反応した。
「え?うーん…そうだね、食べたいけど…あたしは夜でも…」
「何だよ、全員一致じゃしょうがねーなぁ!」
リディアが食べたいと発した瞬間、エッジがふんぞり返って大声でそう告げる。
そしてリディアにチラリと視線を向け、ニカッと笑顔を浮かべた。
「俺が直々に捕ってきてやるよ!ちょっと待ってろよ!!」
「え?え?う、うん。」
リディアが頷くと同時に、エッジはすぐさま湖に向かって駆け出していく。
その後ろ姿を、リディアはポカンとしながら見送った。
「きゅ、急にどうしたんだろ…。」
「うふふ、きっとエッジも食べたくなったんじゃないかしら。さ、私達はコテージを建てて、他の事を済ませちゃいましょう。」
疑問符を浮かべるリディアの頭をそっと撫で、ローザが極上の笑みを浮かべる。
「さすがローザは、エッジの扱い方を心得てるなぁ。」
「…恐ろしいな。」
そんなローザを見つめながら、セシルはにこにこと感心したようにそう言い、カインは引きつりながらボソリと呟いた。
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