FF駄文
□precious a sensation
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一方、キッチンから逃げ出したリディアは、デブチョコボがいる場所へと来ていた。
ボロボロと大粒の涙を零し、自分が作ったチョコレートを見つめる。
確かにエッジの言う通り、それは人の食べ物かと思える程ぐちゃぐちゃだった。
(…あたしだってわかってたけど…でも、あんな言い方しなくてもいいのに…。)
グスッと鼻を啜りながら、作ったチョコを手に取ってみる。
ローザが作った物とは、あまりにも出来栄えが違うそれ。
リディアはどんよりと肩を落とし、手に取ったそれを投げようと腕を振りかぶった。
「こら、食べ物を粗末にするな。」
だがいきなり腕を掴まれ、リディアの腕が空中でピタリと止まる。
驚いて振り返ったリディアの目に、困ったように微笑むカインの姿が映った。
「……カイン。」
「奴の言い方が悪いのはいつもの事だろう。それにこれは、俺達に作ってくれたものだろう?」
気まずそうに見つめるリディアに諭すようにそう話し、カインが苦笑を零す。
その笑顔に頬が赤くなった気がして、リディアは慌ててカインから顔を逸らした。
「…だってこんなの食べれないもん。」
「……どれ。」
むくれたようにそう言うリディアの腕をグイッと引っ張って、カインはその手にあるチョコを自分の口に放り込む。
指先にカインの唇の感触を感じて、リディアは真っ赤になってカインを凝視した。
「…ん、甘くて、ちゃんとチョコレートの味がする。美味いぞ?」
「な、な、な……。」
さらりとチョコレートの感想を述べるカインに、リディアは何も言う事ができない。
固まるリディアに首を傾げ、カインはリディアの顔を覗き込んだ。
「…?どうしたリディア。ちゃんと美味かったぞ。」
「そ、そうじゃなくて…!カイン今、あたしの手から…。」
「………、…!!」
リディアの言葉を頭の中で繰り返し、カインはようやくその意味を理解する。
バッとリディアから手を離し、頬を染めて口元を手で隠した。
「す、すまないっ…つい…」
…早く笑ってほしくて――。
さすがにそこまで言えないカインは、もごもごと言葉を濁らせる。
そのあまりの動揺っぷりに、思わずリディアはクスクスと笑い声を零した。
「あははっ自分がしたのに、変なカイン!」
「…そ、そんな事はいいから、早く戻るぞ。」
笑顔を見せたリディアにホッとしながら、誤魔化すようにカインが咳払いをする。
丁度その時、どこからかがしゃーん!!と何かが壊れる音が聞こえてきた。
「!?な、何今の…?」
「…エッジがセシルとローザに仕置きでも受けているんだろう。エッジが殺される前に戻るぞ。」
「こ、殺さ…!?」
物騒なセリフに驚くリディアの手を掴み、カインがキッチンがある場所に向かって歩き出す。
掴まれた手にドキリと胸を高鳴らせながら、リディアはそっとカインの手に指を絡めた。
「……ねえ、ほんとに美味しかった…?」
ほんのり頬を染めて上目遣いで問いかけてくるリディアの姿は、とても可愛らしくて…。
カインは優しげに口元を緩ませて、繋いだ手にそっと力を込める。
「美味しいに決まっているだろう?リディアが、気持ちを込めて作ってくれたんだから。」
「…!うん…!!」
ハッキリと言い放つカインに、リディアは幸せな気持ちが胸に広がっていくのを感じた。
カインが喜んでくれたから、もういいやと思いながら――。
その後2人が戻って命拾いしたエッジだったが、リディアに土下座しながら、さっきのセリフにどんな意味が込められているのかをセシルとローザに事細かに説明させられたのだった。
happy valentine!
初書きFF4をイベントに便乗して書いちゃいました!
エッジがあまりに哀れな気がしますが、酷い事言ったから仕方ないよ、うん。
ああいう事をさらりと言っちゃうのは、やっぱり若様かなと思いまして;;
親馬鹿なセシルとローザが大好きなんで、仕置きされるのはやっぱ若様しかいない!と思いまして。(いや、若様も大好きなんですけどね;;)
カイリディあんまりないし、作ってしまえ!と思ったんですが難しいですね…;;
色々と可笑しな所があるかもしれませんが、楽しんでいただけたら嬉しいです!
ではでは、ここまで読んでくださりありがとうございました!
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