捧げものC
□笑う門には福来たる!?
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「次の出場者は、木の葉が誇る最上級の癒し系、日向一族の嫡子、日向ヒナタちゃんでぇーす!!」
テンテンの紹介の仕方にキョトリと首を傾げながら、ヒナタがステージ脇から恥ずかしそうに登場する。
すると会場の所々が異様な盛り上がりを見せ、リーはすかさず進行を進めてヒナタにマイクを向けた。
「いつもオットリとした恥ずかしがりの彼女が、まさか出場するとは意外ですね!!ではヒナタさん、意気込みをどうぞ!!」
「は、は、はい…えっと、その…短くて、面白くないかもしれませんけど…その、精一杯、がんばります…!よ、よろしくお願いします…!!」
顔を赤くしてペコリと頭を下げるヒナタに、盛り上がりを見せた各所からハアァ…と悩ましげな吐息が漏れる。
審査員達も今までの適当な素振りは微塵もなく、食い入るようにステージ上のヒナタを見つめていた。
そうとは気付かずヒナタは顔を上げ、フーッと息を吐くと片腕を上げる。
そして……。
「ドドスコスコスコドドスコスコスコ…」
大会まで練習した、某芸人のネタを披露した。
クネクネと腰を振り、順に観客席、審査員席へとクルクル回る。
そして最後に観客席へと向き直り、頬を染めたまま笑顔で決めポーズに入った。
「ドドスコスコスコラブ注入」
胸元からハートを象った手を目一杯伸ばし、片足を上げて観客席に笑いかけるヒナタ。
途端、盛り上がりを見せた数ヶ所の観客席から、悲鳴に似た声が上がった。
人が多すぎてわかりにくいが、あまりの愛らしさに失神している者まで出ている。
しかも特に盛り上がっていなかった他の観客達も、ヒナタのその決めポーズにキュンとしたように胸元を押さえていた。
「…ラブ注入」
そしてネジが言っていた事を実践して、ヒナタが審査員席にも決めポーズを繰り出す。
間近でそれを見たサスケ、サイ、我愛羅の3人は、胸を掻きむしりながら突っ伏した。
(かかか、可愛すぎるぞヒナタ…!!!)
(あ、あんなの反則だよ…!!!)
(くっ…来てよかった…!!!)
(恥ずかしがりのヒナタが、あんなにがんばって…。)
胸を掻きむしっていた3人は激しく身悶え、シノはシノでヒナタのがんばりに感動している。
この4人の出す点数は勿論…
「…と、得点が出ます!…10点、10点、10点、10点…!!今まで低得点だった4人が、ついに…ついに最高点である10点を叩き出しました!」
リーの声を聞いて、会場全体が異様な盛り上がりを見せる。
そして、全員の視線が最後の審査員、綱手に注がれた。
「ウヒャヒャ!ヒナタ〜やるねぇ〜♪んにゃああらしも〜っと♪」
最早ベロンベロンに酔っ払っている綱手は、フラフラしながら得点を押す。
だが10点を押そうとしたその手は、酔いのせいで違うボタンを押していた。
「…あ、あーっと!綱手様は9点です!残念!ヒナタちゃん、惜しくも満点を取る事は出来ませんでした…!!」
テンテンの言葉と掲示板に表示された49点という得点に、会場内から大ブーイングが巻き起こる。
それに慌てたリーがすかさずフォローを入れた。
「ま、満点にはなりませんでしたが、それでも単独トップに躍り出ましたね!ヒナタさん!今のお気持ちをどうぞ!!」
リーがヒナタにマイクを向けた途端、会場内の大ブーイングがピタリと止む。
テンテンはホッと息を吐き、ナイス判断をしたリーに親指を立てた。
「え、えっと…こ、こんな高得点をもらえて、とても嬉しいです…!ど、どうもありがとうございました…!!」
礼儀正しくペコリと頭を下げるヒナタに、今度は会場内の至る場所から吐息が漏れる。
どうやら、またヒナタのファンが増えてしまったようだ。
そんな事には微塵も気付かないヒナタは、そのままステージ脇に引っ込もうと歩き始めた。
「あー…ヒナタ、ちょっろ待れ。」
「え…?は、はい。」
だが綱手に静止をかけられ、ヒナタは慌てて立ち止まる。
綱手はフラフラと上半身を揺らしながら、ヒナタを手招きした。
「あらしなぁ、ボランもまろもに押せにゃくにゃっれっから、お前、代わりに審査員やっれくれにゃいかにゃ〜?」
「へっ…!?わわ、私が、ですか…!!?」
呂律が全く回っていないが、代わりに審査員という言葉だけははっきりわかり、ヒナタは目を丸くしてワタワタと焦り出す。
すると綱手は審査員席からヒラリと離れ、ヒナタを引っ張って審査員席へと連れていった。
「んあ、おみゃーにゃらあいつらも文句言わんだろ〜。んにゃ、頼んにゃろ〜!」
言うが早いか、綱手はヒナタを半ば無理やり審査員席へと押し込み、いつの間に用意させていたのか特別席へと移っていく。
ヒナタはオロオロしながらも、同じ審査員である4人によろしくお願いしますと頭を下げた。
勿論ヒナタに甘いシノと、ヒナタに惚れている3人がそれを認めないわけなどなく。
会場内は異常な熱気に包まれ、新たにヒナタを審査員に迎えて大会は継続された。
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