捧げものC

□笑う門には福来たる!?
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綱手の後ろに立っている人物達――それは、開催が決定してから姿が見えなかったサスケとサイとシノ、そして風影である我愛羅だった。
何故、彼らがステージ上…綱手の背後に立っているのか。
この大会に参加するのが嫌で、逃げ出したが捕まったのかと全員が思ったが、それなら我愛羅までいるのはおかしい。
全員が不思議そうにステージ上を見つめていると、綱手がマイクを持って大会開始を宣言した。

「皆、今日はよく集まってくれた!今日は大いに笑って、楽しんでくれ!!参加者諸君!コント、漫才、物真似…何をするのもお前達の自由だ!ここに集まった者達と、私を存分に楽しませてくれ!」

綱手がそう言い終えると、スポットライトがステージの隅へと移動し、そこから2人の人物がマイクを持ってパタパタとステージ中央へと走ってくる。
その人物に、またもやヒナタ達は目を見開いて驚きを露にした。

「はぁい!本日、司会進行を務めさせていただくのは私、テンテンと…」

「木の葉の美しき蒼き野獣、ロック・リーです!!皆さん、どうぞよろしくお願いします!!」

テンテンは笑顔でヒラヒラと手を振り、リーはビシリとポーズを決めて頭を下げる。
そう言えば、彼らの姿もビラ配りから見ていなかった。
あの2人が司会進行だというのなら、綱手の後ろにいる4人はまさか……。

「さぁーて!本日の審査員達をご紹介します!まずはうちは一族最後の1人!復興させるなら私を嫁にして!との声が多数寄せられているうちはサスケ君と…」

「ニコリと笑う甘いマスク!けれどもその姿とは裏腹な超絶毒舌王子サイ君!そしてそして…」

「サングラスとフードで隠された感情!彼が声を上げて笑う姿を、誰か見た事があるのか!?の油女シノ君に…」

「風の国からこんにちは!クールなエリートと砂の里で大人気!特別審査員として、砂の里から風影の我愛羅君が来てくれました!」

「そしてそして、審査員長はもちろんこの方!我らの5代目火影!最強美女!そして伝説の三忍の紅一点、綱手様でーっす!!」

やっぱりかーっ!!!

ヒナタ、チョウジ、ハナビを除くメンバー達は、またもや心の中で同じツッコミを入れる羽目になった。
綱手はともかくとして、他の4人にお笑いなんてわかるのか。
出場者全員が同じ事を思っていた。
しかも司会を務める2人もかなりノリノリで、思わず全員が呆気に取られる。

「…って何なの、この紹介文。」

「しっテンテン!綱手様にいただいた台本に、そう書いてあったんだから仕方ないですよ!と、とにかく、司会を務めましょう!」

「優勝特典もいいし、どうせならあたし、あっちに混ざりたかったなぁ…。」

「ク、クジで決まったんだからそれも仕方ないですよ。とにかく、僕とがんばりましょう!」

…否、思いの外ノリノリでもないらしい。
持っていた台本に眉を顰めるテンテンを、リーが宥めている。
どうやら2人は、クジで無理やり司会進行役にされたらしい。
だが2人でがんばろうというリーの言葉に気を良くしたテンテンは、笑顔を取り戻して司会進行に戻った。

「はぁーい、では、ルールを説明しまぁす!まず、出場者には全員クジを引いてもらい、順番を決めます!その順番通りにネタを披露してもらい、審査員5名に判定してもらいます!そして、得点の一番高い人が優勝となりまーす!」

「はい!それでは出場者の皆様!ステージ裏に集合して、そこに落ちている紙を一枚だけ拾ってください!そうしたら、自動的に名前が掲示板に表示されますので!」

テキパキと指示を出す司会2人に、出場者達がゾロゾロと動き出す。

「それじゃ姉さん!私、観客席で見てるからがんばってね!皆さんもがんばってください!」

出場者ではないハナビはヒナタに笑顔でそう告げ、メンバー達にペコリと頭を下げて観客席へと駆けていった。

「ま、まさかあいつらが審査員とはな…。」

「…っつーかあいつら、お笑いとか見た事あんのかよ!?」

「だ、だよなぁ!っていうか、お笑い自体知ってるかどうかも怪しいってばよ…。」

ステージ裏に向かいながら、シカマルとキバが苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。
ナルトも強く頷きながら、微妙な選抜である審査員4人を見やった。

「やだぁ〜ん!サスケ君とサイ君の前で、お笑い芸なんて出来ないわよぉ!」

「あら、だったらリタイアしたら?私は優勝して、サスケ君と一緒に休みをもらってラブラブになってみせるから♪」

「はぁっ!?リタイアなんかしないわよー!!あんたなんかに、サスケ君は渡さないんだから!!」

「「フンッ!!!」」

いのとサクラはいつものやり取りをして、互いにそっぽを向いてしまっている。
そんな中、ヒナタは1人緊張を和らげようと、手のひらに人という文字を三回書いて飲み込む振りをしていた。

(ぐっ…ヒナタ様、あんなに緊張して…可愛い…!!)

ネジはネジで無表情でステージ裏に向かいながら、内心緊張しているヒナタの一連の動作に激しく身悶えている。
そして密かに自身のネタを思い浮かべ、熱い視線をヒナタに送っていた。


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