捧げものC

□All is fair in love!
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「…で、具体案は決まってるんさ?」

隊を結成した直後、ラビがルベリエをジッと見据えて問いかける。
その問いにルベリエは頷き、その場にいた全員を見回した。

「まずは、ミランダ・ロットーが神田ユウを見限るよう仕向けます。いきなり引き離しては、彼女が悲しい思いをしてしまいますからね。」

「見限るよう仕向けるって…どうやってするんですか?」

ルベリエが答えると、続けざまにアレンが質問を重ねる。
するとルベリエはニヤリと人の悪い笑みを浮かべ、作戦の概要を話し始めた。

「君達がミランダ・ロットーに、如何に神田ユウが非情で常識がなく、人を人とも思わぬ冷酷人間かを知らしめる。そして女性に対してもその態度が全く変わらない事を話してやりなさい。」

「…でもそんなん、ある程度ミランダも知ってるっしょ。」

「勿論それだけではない。そんな話とは正反対に、神田ユウが女性と親しげにしている所をミランダ・ロットーに見せてやるのだ。」

「あいつが女性に親しげにしてる場面なんて、見た事もないですよ…。なのに、どうやってミランダに見せるって言うんです。」

自信満々にそう言い放つルベリエに、アレンとラビは眉を寄せて呆れたようにため息を吐く。
するとルベリエはチッチッと指を左右に揺らし、チラリとサードに視線を向けた。

「ほんの一瞬でいいんですよ。本当に親しくなくても、そういう風に見える場面のみを映像に収めて、彼女に見せればいい。そして同様に、彼女が他の男と親しげにしているところも、彼に見せる。」

「………互いが互いを疑って、喧嘩別れさせるってわけさね!」

そこで漸くルベリエの作戦の意図を理解して、ラビがパチリと指を鳴らして納得したように頷く。
だがアレンはまだ納得いかずに、眉を顰めて首を傾げた。

「……どういう事ですか?」

「要は2人に、浮気疑惑をかけさせるんさ。」

「え…ええっ!?」

ズバリ言い放つラビに、アレンは漸く意味を理解して驚愕の声を上げる。
隣にいたリンクもとんでもない提案に、目を見開いてルベリエを凝視した。

「ちょ、長官…神田ユウは構いませんが、ロットーにそんな不名誉な疑惑をかけるのは…。」

「何、真実ではないのですからいいでしょう。それに神田ユウ以外にその映像を見せるつもりはありませんし、見せ終わった映像はすぐに処分するから大丈夫です。今は何より、ミランダ・ロットーとあの男を別れさせるのが何よりの優先事項ですよ。」

リンクの言葉に、さも大した事ではないと言い切るルベリエ。
さすがのリンクも、尊敬するルベリエにそれ以上言い募る事は出来なかった。
そして、ルベリエがあまりにも自信満々にそう言った為に、アレンとリンクもそれもいいのだろうと思い込んでしまう。

「さて…では君達には、先程言ったように行動してもらいましょうか。疑惑の映像は、サードエクソシスト達に撮るよう言ってありますから。」

「…あの、もう1人、仲間に入れたい人がいるんですけど…ミランダに話をするなら、彼にも賛同してもらった方が真実味があると思うんで…。」

「ふむ…そうした方がいいならそうしたまえ。では、早速作戦開始です!」

的確に指示を出し、実行に移すのも素早い。
さすが長官なだけはあるんだなぁ…などと感心しながら、アレンはラビとリンクを連れ立って書庫を後にした。

「…で、後1人仲間にしたいのって誰なんさ?後は大体2人の仲を祝福してる奴ばっかっしょ?」

書庫から出た直後、アレンが言っていた人物が気になったラビが、開口一番アレンに問いかける。
リンクも気になっていたらしく、ラビの言葉に同調するようにアレンに視線を向けた。
ラビの言う通り、ティエドールは勿論マリもリーバーもコムイも、クラウドやあの女好きのクロスに、果てはミランダ大好きの大魔王リナリーまでもが2人の仲を祝福しているのだ。
2人の脳内には、最早仲間に引き込めそうな強力な人物はいない。
するとアレンはニッコリと笑顔を浮かべ、ピッと親指を立てた。

「フフッ何言ってるんですか。僕達が頼めば、絶対味方になってくれる優しい人がいるじゃないですか。」


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