捧げものC

□All is fair in love!
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3人は驚いて振り返り、意外な人物の登場にポカンと口を開けてしまう。
だがリンクはすぐにハッと我に返り、慌てて立ち上がって敬礼をした。

「ちょ、長官…!お、お見苦しい場面を見せてしまい、申し訳ありません…!!」

「いや、構わんよ。ハワード・リンク監査官。」

謝罪を述べるリンクを片手で制し、その人物は微笑を浮かべながら3人を順に見回す。
そう、その場に現れたのは、リンク直属の上司である、ルベリエだった。

「な、な、ななな、何で…」

「な、何でアンタがここに…!?」

ルベリエの登場に、アレンとラビも慌てたように問いかける。
ルベリエはコホンと1つ咳払いをし、サッと片手を上げた。
するとルベリエの背後に、テワク以外のサードエクソシスト達が姿を現す。
アレン達が唖然とする中、ルベリエは颯爽と歩いてアレン達がいる机の中央の椅子に腰を下ろした。

「何、不測の事態に対応する為、同志を探していたのです。聞けば君達も、今回の話には納得していないようではないですか。」

ゆったりとした口調ながら、ルベリエの目にはどことなく怒りに似た感情が浮かんでいる。
自分達が納得していない今回の話……と、いうことは、ルベリエの言う不測の事態というのも…。

「……まさかとは思うけど…アンタも、ユウとミランダのお付き合いに反対なんさ…?」

ヒクリとひきつりながら、ラビが3人を代表して恐る恐る問いかける。
途端ルベリエを取り巻く空気だけでなく、サードエクソシスト達の空気も一変した。

「賛成する理由がどこにあるというのだね!?あんなにも従順で清楚な女性が、あんな獣のような男になぞ…!!彼女には、私が息子のように可愛がっている彼らこそが相応しいのだ…!!」

ダンッと思い切り机を叩き、ルベリエが後ろにいるサードエクソシスト達とリンクに視線を向ける。
自分も入っていた事にリンクが密かに安堵の息を吐いていると、サードエクソシスト達がズイッとルベリエの横に並んでアレンとラビに視線を向けた。

「…そう、彼女にあんな男は似合いません。」

「長官の言う通り、僕達こそが彼女に相応しい。」

「だから、このままにはしておけねー。」

「我らは全く、納得していない。」

口々にそう言い募るサード達は、冷静に見えるが激昂しているのは明らかで。
予想外の展開に、アレンとラビ、リンクの3人は目を丸くして顔を見合わせた。

「アンタらが2人のお付き合いに反対なんはよくわかったけど…ほくろ2つはともかく、何でオレらにまで声かけんの?」

「そうですよ。あなた方にとって、僕もラビもミランダさんに想いを寄せている恋敵ですよ?」

「長官、一体どういう事なんでしょうか?」

3人が口々にそう問いかけると、ルベリエは1つ咳払いをして3人を一瞥する。
そして真剣な表情で3人の問いに答えた。

「まずは、あの2人を別れさせる事が先決です。別れさせる為の要員は1人でも多いに越したことはありませんからね。まして君達は私達よりあの男の事を知っている…君達を同志にした方が、別れさせやすいと思ったからですよ。」

「……なるほど、それで僕達を仲間に引き込もうと。」

「そうです。君達も、まずは2人を別れさせる事が第一だと思うでしょう?」

ルベリエの説明にアレンがそう呟くと、ルベリエがニコリと笑みを浮かべる。

(さすがは長官…!やるべき事を的確に見抜き、その為の人材を即座に探し始めるとは…!)

(…確かに…まずはミランダさんから、バ神田を離すのが先決だよな…。)

(…敵に回すと厄介だけど、味方にするならこれほど心強い相手はいないよな……。)

リンクが1人感心している中、アレンとラビの考えが完全に一致した。
アレンとラビは揃ってルベリエに視線を向け、コクリと強く頷く。
今ここに、神田とミランダを別れさせ隊が結成されたのだった。


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