FF駄文
□4月ネタ
2ページ/2ページ
サラリと金髪が名残のように揺れ、そこで漸く3人はカインがエッジを殴ったのだと認識した。
「ってぇ…何で邪魔すんだよ。」
「っ…俺もリディアが好きだからに決まってるだろう!!!」
エコーがかかりそうな程大きな声でカインがそう叫ぶと、その場に静寂が訪れる。
セシル、ローザ、リディアの3人はポカンと口を開け、瞬きもせずにカインを見つめていた。
カインは肩で息をしながら、きつくエッジを睨み付けている。
そんな微妙な空気の中、唐突にエッジが笑い出した。
「ははははっ!何だよ、気持ち決まってんじゃねーか!じゃあとっとと伝えやがれってんだ!!」
「……………は……、…っ!!」
何を笑っているんだと詰め寄ろうとしたカインだったが、エッジの言葉にピタリと動きを止め、先程叫んだ自分の言葉を脳内で繰り返す。
本人だけでなく、幼なじみ2人もいる前での大告白。
そう認識した途端、火を噴く勢いでカインは全身を朱に染めた。
「…そういう事…さすが、こういう色恋沙汰には頭が回るわね。」
「…ローザちゃん、それ褒めてんの?」
「え?え?ど、どういう事だいローザ?」
エッジが何を企んであんな行動に出たかを察知したローザは、感心したように息を吐く。
そんなローザにエッジはちぇっと舌打ちを漏らし、セシルは未だ意味がわからず瞬きを繰り返した。
そしてリディアはというと。
3人のやり取りになど目もくれず、ただただカインを見つめていた。
…自分を好きだと言ってくれたカインの言葉を、脳内で繰り返しながら。
「おいおい、リディアちゃん。放心してる場合じゃねーだろ?カインの野郎にネタばらししてこいよ。じゃないと誤解されたまんまだぜ?」
固まって動かなくなった2人に痺れを切らし、エッジが立ち上がってリディアの頭をポフポフと叩く。
そしてセシルとローザへと視線を向け、いつものおどけた口調で言葉を発した。
「目的も果たしたし、俺はちょっくら酒場にでも行ってくるわ。お前らも、お邪魔虫は程々にな!」
それだけ言うと、エッジはその場から足早に立ち去っていく。
「あっ…!ちょっと待ってエッジ!私達も行くわ!」
「わっ!?ロ、ローザ!?結局、何がそういう事だったんだ!?」
「後で話してあげるから、今はとにかくエッジを追いましょ!じゃあね、カイン、リディア!」
一度も振り返らずに立ち去ったエッジが気にかかり、ローザもまたそれだけ言うと未だわかっていないセシルを引っ張ってその場を立ち去っていった。
再び辺りに静寂が広がる。
…今この状態で2人にされても。
立ち去った3人を恨めしく思いながらも、立ち去ってしまったものは仕方がない。
カインが意を決してリディアの方へ向き直ると、リディアは未だにポワンとした表情でカインを見つめていた。
「……?リディア?」
「……え?あっ…!」
カインが呼び掛けると、リディアはハッと我に返って深く俯く。
その行為が自分を避けているかのように見え、カインはズキリと自分の胸が痛むのを感じた。
「あ、あのな…その……リディアは、本当にエッジと…」
「ご、ごめんなさい!!」
痛みを堪えて口を開くも、リディアが大きな声で謝罪を口にしてそれを遮る。
カインが何かを言いかけていた事に気付いていないリディアは、頭を下げて再びカインに視線を向けた。
「あ、あのね、実は…エッジとケッコンするっていうの嘘なの!」
「…………………は…?」
リディアの言葉に、今度はカインが目を瞬かせてリディアを凝視する。
リディアはバツが悪そうに目を泳がせ、顔の前で手を合わせた。
「あ、あのね…今日は嘘を吐いてもいい日だから、カインを驚かせようってエッジに言われて…セシルもローザも面白そうって言うし、そのぉ…カインってあんまり表情変わんないから、驚いた顔とか見てみたいなぁなんて思っちゃって…。」
「………今日…、…!!!」
リディアの説明に、カインは今日が何の日かを思い出す。
ボッ!!!
それを思い出したと同時に、カインは再び真っ赤になって固まってしまった。
そうだ、今日はエイプリルフール――…。
自分は仲間達に、騙されたのだ。
固まるカインの手に、リディアがそろりと手を伸ばす。
そしてカインの手をギュッと握ると、頬を染めて上目遣いでカインを見つめた。
「…カインのさっきの言葉は…?嘘…?」
今日がエイプリルフールだと知っているリディアは、期待しながらも不安を隠せずカインにそう問いかける。
そんなリディアの姿に、カインは心の中で白旗を上げた。
「…たった今、思い出したんだ…嘘な訳、ないだろう…。……みんなの前で言わせたんだ、責任…とってくれ。」
「責任って……、!!」
不思議そうに問うリディアの唇を、カインが己のそれで塞ぐ。
リディアは驚きに目を見開くも、カインの告白は本当なのだと思い、ゆっくりと目を閉じた――。
「…ほんとに、リディアが好きだったのね。まさかあんな方法で、カインの本音を聞き出すとは思わなかったわ。」
「…そうだったのか…。」
「…別に。…俺はただよ、リディアがつらそうにしてんのを見たくなかっただけだっての。」
「……貴方、本当にいい男だわ。…きっとすぐに、いい娘が見つかるわよ。」
「……あったりめーだっての!俺ほどのいい男なんてそういねーからな!」
グイッとジョッキを飲み干しながら、エッジがニッと笑みを浮かべる。
その目が微かに潤んでいた事に気付かない振りをして、セシルとローザもグラスの中味を飲み干して優しい笑みを浮かべたのだった。
Fin
…言う事は一つです。微妙な出来ですみません!!
ギャグにしようかと思ってたんですが、若様が意外とかっこいい方にいっちゃいました;;
こんなんですが、楽しんでいただけたら幸いです!
ではでは、読んでくださりありがとうございました!
.