FF駄文

□A girl's suffering
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懇願するように手を合わせて。
うるうると潤んだ上目遣いでお願いという彼女に、思わず頷きそうになる。


離れた位置で、ある種この状況を作り出した王子は拗ねたような表情で俺を睨んでいるし、幼なじみ2人はその王子を押さえつつ、口元を押さえて笑いを堪えている。
睨まれる筋合いもないし、笑っている場合でもないだろう。
天の邪鬼な王子様に、どうするのかと笑いながら見守る幼なじみ2人。
そして無邪気にとんでもないお願いをする少女に、俺は心の底からため息を吐いた。





A girl's suffering





それは、トロイアを訪れた時の事だった。
ギルバートの様子を見にきたセシル達は、見舞いの品を見繕う為に店が建ち並ぶ通りへと来ていた。
食べ物がいいか、花束がいいかなどと話し合いながら、セシル達が店先を覗く中、エッジは辺りを見回しながら口笛を吹き、何故か1人満足そうだ。
上機嫌な様子のエッジに首を傾げ、リディアは不思議そうにエッジを見上げた。

「何か、機嫌いいねエッジ。いいことでもあったの?」

「いやぁ、トロイアはいつ来ても美人で色気のある女が多いな〜って思ってよ。」

弾んだ声でそう言うエッジにキョトンとし、リディアもまた視線を辺りに向ける。
色気がある、というのはリディアにはよくわからなかったが、確かに美人は多い。
多いとは思うが、パーティー内の美女…ローザの方が綺麗だとリディアは思った。
素直なリディアは、再び首を傾げて口を開く。

「確かに綺麗な人が多いけど…でも、ローザの方が綺麗だよ。」

はっきり言い切るリディアに、エッジは目を丸くした。
そこで、リディアも綺麗だしなと言ってやれれば、2人の関係は何か変わったかもしれない。
だがこの男は、素直になれない天の邪鬼だ。
エッジはすぐさまニヤリと意地悪く笑い、リディアの顔を覗き込んだ。

「まぁな…確かにそうだし色気もあるけどよ、ローザはセシルのもんだろ?お前にゃ色気は皆無だし、ついつい目がいっちゃうんだよなぁ。」

「ムッ、何か馬鹿にした言い方…そもそも、色気があるとかよくわかんないもん。」

ニヤニヤ笑うエッジにムッとして、リディアが口を尖らせる。
内心その姿を可愛いなどと思いながら、それでもエッジは憎まれ口をたたいた。

「まぁ所謂大人の魅力ってやつよ。お子様なお前に備わってなくて当然だよな。」

「っ!子供じゃないもん!」

エッジの言い草に、カチンときたリディアが大声で反論する。
すると、今まで見舞い品について話しながら品々を物色していた3人が驚いて振り返った。

「ど、どうしたんだい2人共?」

「エッジったら、またリディアをからかってるの?」

「…懲りない王子様だな。」

困ったような表情のセシルに、呆れた様子のローザとカイン。
エッジは3人の方へと向き直り、ニカリと笑顔を浮かべた。

「からかったんじゃなくて正論言ったらよ、リディアが勝手に怒り出したんだよ。」

「子供じゃないから正論じゃないもん!」

ケラケラ笑いながらそう言うエッジに、リディアがプリプリしながら反論する。
セシルはそんなリディアの肩を優しく叩き、困ったように笑みを浮かべた。

「まぁまぁリディア。」

「うー…。」

セシルが宥めると、リディアは膨れっ面でエッジをジトリと睨み付ける。
せっかくセシルが止めてくれたのだからそこで止めておけばいいものを、エッジはニヤニヤ笑いのまま更に余計な事を口にした。


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