FF駄文

□空色の…
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暗くて、冷たくて……まるで深い海の底のような、寂しい目だったの。


ローザとヤンが無事だった事が嬉しかった。
セシルがすっごく変わっていた事にもすごく驚いた。


…でも、それより何より。


そこに、温かな眼差しの貴方がいた。


それが何故か、あたしの胸に甘い疼きと喜びを与えてくれたの…。




空色の…





ドワーフの城で再会を果たしたセシル達とリディアは、バブイルの塔への出発を明日に決め、食堂へと来ていた。

「それにしても、リディアがこんなに成長してるなんて…。」

未だ目の前の女性がリディアだと信じられないローザは、驚いた表情を浮かべてポツリと呟く。
リディアはそんなローザににこにこと笑いかけ、口の中の物を飲み込んで口を開いた。

「そうだよね、驚くよね〜。こっちでは10ヶ月ぐらいしか経ってないんだもんね。私も幻獣王様から聞いた時は驚いちゃった!」

あはは、と明るく笑うその姿は、確かに幼い頃のリディアを彷彿とさせる。
ローザは驚いた表情から一転、目を潤ませてリディアをギュッと抱き締めた。

「え?あれ?どしたの?ローザ。」

突然抱き締められ、リディアがキョトリと首を傾げてローザの横顔に視線を向ける。
するとローザは、心底安堵したように息を吐いた。

「貴女がリヴァイアサンに飲み込まれたって聞いた時、心臓が止まりそうだったわ…だから、こうして再会できた事が夢みたいで…すごく嬉しいの…。」

ローザの言葉に、セシルとヤンも力強く頷く。
リディアは満面の笑顔を浮かべて、ローザの体をギュッと抱き締め返した。

「えへへ…あたしもローザにまた会えて嬉しいよ。そんな風に思ってもらえて、すっごく嬉しい!」

本当に嬉しそうにそう言うリディアに、セシルとヤン、そしてローザの胸に温かな気持ちが広がる。
ローザはそっとリディアから体を離すと、目元を拭いながら照れ笑いを浮かべた。

「ご、ごめんねリディア。せっかく再会できたのに、泣いちゃって……。」

「んーん、ありがとーローザ!ほらほら!ご飯食べようよ!冷めちゃうよ?」

そんなローザにもう一度満面の笑顔を向け、リディアが食事を再開する。
モグモグと口を動かし、一生懸命食事をするリディアの姿を、儚く笑いながらセシルが見つめた。

「なぁに?あ、これ取りたいの?セシル。」

微笑みながら自分を見つめるセシルに気付き、リディアが自分の前にあるお皿をセシルに差し出す。
セシルは手でそれを制し、ふと視線を落として静かに口を開いた。

「…リディア。…本当にいいのかい?これから行く所は本当に危険なんだ。せっかく無事だったんだから、君はこんな命懸けの旅をしなくてもいいんだよ?…まして、僕は君の…」

「もうセシルってば!それはさっき言わないでって言ったじゃない!!」

セシルの言葉を遮って、リディアが頬を膨らませて反論する。
そして椅子から立ち上がってズイッとセシルに顔を近付けると、拗ねたように唇を尖らせた。

「あたしは、セシル達の力になりたくて幻界でがんばったのに、そんな風に言われると悲しいよ。命懸けの旅なら、尚更幻獣達の力だって必要でしょ?現にさっきだって、あたしが来なかったら危なかったんだから!」

プリプリしながらそう言うリディアに、セシルは呆気にとられる。
するとローザとヤンがくすくすと笑って、セシルを窘めた。

「セシル殿の負け、ですな。」

「そうよセシル。私達、リディアに命を助けてもらったのよ?お言葉に甘えて、力を貸してもらいましょう?」

「う、うん……。」

セシルとしてはリディアの身を案じて言ったつもりなのだが、リディアだけでなく仲間2人にまでそう言われてしまってはこれ以上は何も言えない。
口を噤んだセシルを見て、リディアはにっこりと微笑んだ。

「大丈夫だよ!無理しないから、みんなでがんばろう?」


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