捧げものC

□笑う門には福来たる!?
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ヒナタ様に気に入っていただけたなら何よりです。

フフフッネジ兄さん、すごく面白かったよ…!振りとか、完璧だったね…!

その場にいた誰もが身動きが出来ず固まる中、一組の男女が場違いなまでに和やかに笑い合っていた――。





笑う門には福来たる?





《第一回木の葉お笑い大会!》

サスケも漸く木の葉に戻り、平穏を取り戻した木の葉の里。
その里で、急に上記大会が開催される事が決定し、里中の忍達は皆目を丸くしていた。

「……なんだってまた、お笑い大会なんだ?」

バラまかれたビラを手に取り、ヒクリと顔をひきつらせながらキバが呟く。
するとサクラは肩を竦め、困ったように答えてやった。

「…師匠がね、『今の木の葉には娯楽が少なすぎる!せっかく平和になって、うちはサスケも戻ったってーのに何か面白い事はないのか!!?』って言い出しちゃって…その時たまたま、お笑い番組をやってたのよね…。」

「……綱手のばぁちゃん、単純過ぎだってばよ…。」

サクラの説明にナルトもひくりと顔をひきつらせる。
シカマルは心底面倒くさそうにため息を吐き、ビラを指で摘まんでヒラヒラとさせた。

「しかもこれ、中忍以下は全員強制参加って書いてあんじゃねーか…くっそ面倒くせー…!仕方ねぇ、バックレるか…。」

「それは止めた方がいいと思うわよぉ?ほら、ビラの一番下見てみなさいよ。」

サボる気満々のシカマルに、いのがビラの一番下を指差して忠告する。
全員が指差された箇所を見ると、そこには《尚、出場拒否をした馬鹿者には、火影直々に罰を下す。…脳天かち割ってやる。》と書かれていた。

「「「…………。」」」

それは一種の、パワーハラスメントではなかろうか。
綱手ならば本気で脳天をかち割りかねず、ナルト、シカマル、キバの3人はゾッと背筋を凍らせた。
そんな3人を見ながら、チョウジとヒナタは顔を見合せながらクスリと笑い合う。

「何だか…綱手様らしいね。」

「きっと、まだまだ木の葉も大変だから…何か楽しい事をしてみんなにも楽しんでもらおうと思ったんだね。」

違う、断じて違う。
先の3人に加えてサクラといのも、思わず胸中でツッコミを入れた。

「…あら?ねぇ、そういえばサスケ君とサイ君は?シノの姿も見えないけど…。」

そこでふと、いのがその場にいないメンバーに気付いてキョロキョロと辺りを見渡す。
それには、同班のメンバーであるナルトとキバが答えた。

「あ、あぁ、サスケとサイなら、何か呼び出しがかかって行っちまったけど。」

「シノは家にいなかったんだよ。どこに行ったかはしらねー。」

「なぁんだ、せっかく7班と会ったっていうのに、肝心のサスケ君とサイ君がいないんじゃ全く意味がないわねぇ…。」

2人の返答…否、ナルトの返答に、いのは唇を尖らせて中々失礼な事を口にする。
するとサクラは半目でジトリといのを睨み付けた。

「あんた…まだサスケ君を諦めてなかったわけ?もういい加減諦めなさいよ!サイでいいじゃないサイで!!」

「あらぁ…あたしはいい男をより吟味してるだけでしょぉ?いくらあたしに敵わないからって、そんな風に突っ掛かってくるの止めてもらえるかしらぁ?」

「っ!!誰が、あんなみたいないのブタに敵わないですって!?」

「何よやる気!?」

サクラの睨みなど気にもせず、高笑いしながら馬鹿にしたようにそう言い放ついのに、サクラが青筋を立てていのにブチ切れる。
今にも喧嘩しそうな2人に気付いたヒナタが、慌てて2人を止めに入った。

「サ、サクラちゃんもいのちゃんも落ち着いて…!け、喧嘩はダメだよ…!」

ウルッとした眼差しで祈るように手を組んで懇願するヒナタに、2人の動きがピタリと止まる。
2人はチラリとヒナタを見ると、突然その場に崩れ落ちた。

((うぅっ!か、可愛すぎるわヒナタ…!!))

キョトンとするヒナタをよそに、2人は口元を押さえて身悶えている。
そんな2人にナルトとチョウジは首を傾げ、シカマルとキバは2人の気持ちはわかるとばかりに苦笑を零した。

「ま、殺される事はねーだろうし、やっぱトンズラするに限るな。いちいちネタとか考えんの面倒くせーし。」

「だよな!」

「な、暫く我愛羅にかくまってもらおうぜ!綱手のばぁちゃんも、わざわざ砂の里には来ねーだろうし!」

シカマルが伸びをしながらそう言うと、ナルトとキバも強く同意を示す。
するとチョウジがあ、と声を上げ、ビラの真ん中部分を読み上げた。

「尚、優勝者には賞金と、ペアで一週間の休みを与えるって書いてある!うわぁ、この金額…焼き肉食べ放題何回出来るかなぁ…。」

(一週間休み…!!?)

(ペアで!!?)

(しかも賞金付き!!?)

チョウジのセリフを聞いた途端、シカマル達3人の目に光が灯る。
3人にとって、その優勝特典は何よりも魅力的だった。

「…トンズラしたところで戻ったらどうせ脳天かちわられっし…」

「出場するっきゃねーな!」

「やるからには、優勝目指すってばよ!!」

3人は逃げ出そうとしていた体をクルリと戻し、握り拳を作って弾んだ声を上げる。
そんな3人にサクラといのは心から呆れ、チョウジとヒナタはキョトンと首を傾げた。


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