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□嵐組再び!
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‥‥‥‥あの件から数日後に、嵐は再び訪れた…。


「‥‥‥‥あの、忙しかったかな…?」
「いや、そんなんじゃねぇけど…」

ヴァルキリー団の団長であるシオンは、向こう側から来たシオンにそう答えた。‥‥‥‥問題は、彼女が連れている人物と話の内容なのだ。

「あのドカス、迷惑にも程がありやがるんだ。ヘマでレネゲイドを逃がしやがって…」

‥‥‥‥そう、彼女の姉である向こう側のジェイルが率いる軍の参謀である向こう側のリウを連れていたのだ。
話は向こう側にも居るランブル族の一人がしてはいけないミスを起こし、悲しいかなシオンの世界にレネゲイドを送り込んでしまったのだ。

「あの、シオンさん。手伝って…くれませんか?」

そう言った向こう側のシオンは上目遣いと何処か可愛らしい雰囲気(しかも、二つ共無意識)を醸し出し、シオンは照れながらも返事をしたのだった。

「お、おう…。んじゃ、俺の所も一人連れてくけど良いか?」
「出来るだけ、役に立つ奴ならな」

矢張り俺様な向こう側のリウにシオンはムッとしながらも、連れて来たのは矢張りリウだった。

「えー、オレ?」
「‥‥‥‥役に立つのか?しかも、ヘナチョコで…」「酷でぇ。ま、俺様よりは役に立ちますよー」
「あ゛ぁ!?」
「リウ、乱暴は駄目よ」
「チッ…」

向こう側のリウの暴走を止めるのは何時も向こう側のシオンらしく、向こう側のシオンには甘いと言う事も分かったのだった。


レネゲイドが居たのは最悪にもシトロ平原に現れた遺跡の奥で、四人は武器を構えたのだった。
向こう側のリウが放つ銃が火を吹き、シオンはリウのサポートを受けてレネゲイドにダメージを与えた。
向こう側のシオンはと言えば、回復や追撃を繰り返していた。
見事レネゲイドに止めを刺した向こう側のリウは暴れ足りたのか満足し、向こう側のシオンは疲れた顔をしていた。

「お疲れー。‥‥‥‥にしても、向こうのオレって手加減ねーんだな…」
「ドカスに命乞われても、許しはしねぇ質何だよ」
「でも…」
「てめぇは何時も甘いんだよ。前の抗争でも慈悲を掛けやがって、それで何遍死に掛けやがった」
「分かってる。けど…」

向こう側のリウとは違い、向こう側のシオンは慈悲深い少女だった。
‥‥‥‥ただし、ある事を一つだけを抜かせば…。


レネゲイド退治も済み、トビラの前まで行くと原因の子供が泣きながら現れたのだった。

「うわーん、シオン〜」
「アルカ!?どうしてここに?」
「うぅ…。ヴィーレが…」「‥‥‥‥また懲りずに喧嘩したの?」

アルカと呼ばれたランブル族の子供を抱き上げると、その後に現れたのは帽子を深く被った赤ん坊だった。

「あ、赤ん坊!?」
「チッ、‘星の子’か」
「‘星の子’?」

トビラから現れた赤ん坊は表情を出さずに、シオンとリウに説明した。

「‘星の子’ってのは、産まれた時から星の印を持ってる‘呪われた赤ん坊’の事だぞ。ただその時の記憶やら力やらを持って産まれたからな、産まれた直後にもう一人で立てる様になるんだ。‥‥‥‥まぁ、そのせいで化物扱いだけどな」「へぇ…。けどさ、俺は平気だぜ?あっ、俺シオンってんだ。あっちはリウ」
「ヴィーレだぞ。オレの姿を全然不気味がらねぇのはこっちのシオン以来だぞ」「ヴィーレ、アルカにまた何したの?」
「アホメガネがヘマをやったからな。二度とやらねぇ様にしてたんだぞ」
「アルカさん、そんな事しないし!」

向こう側のシオンから降りてぎゃいぎゃいと騒ぐアルカだが、ヴィーレに直ぐ殴られまた大泣きに…。
最悪は続く物で、泣き声が癪に触ったらしく向こう側のリウがアルカの頭を鷲掴みにしてトビラへ放り込んだのだった。

「「あっ!」」
「リウ!もー、アルカ苛めちゃ駄目!!」
「アイツは一々耳に来るんだよ!‥‥‥‥それにしても、‘星の子’が迎えに来る何ざ…。どう言う風の吹き回しだ?」
「奴等の動きがまた怪しくなったからな。他の奴等は依頼やらで出掛けちまったから居ねーんだよ」
「だからヴィーレが?」
「ああ。それに、また馬鹿共が五月蝿くなり始めたからな」

ヴィーレがそう言うと、向こう側のシオンはまたかと言う様に溜め息を一つ吐きながら言った。

「もう戻るし、騒ぎも納まるでしょ」
「そうだと良いけどな」

向こう側のシオンの台詞にヴィーレは溜め息を吐いた後に、そのまま向こう側のシオンの近くへ行き両手を掲げたのだった。
それがその合図なのか、向こう側のシオンは抵抗も無くヴイーレを抱き上げたのだった。

「じゃあ、もう行くね」
「ああ。またな」
「頑張れよ、そっちも」

三人が去った後、シオンとリウが思った事は一つだった。

((アイツ等と居ると、全くロクな事ねぇな…)ねーなー…)

そしてシオン達四人は、向こう側の自分達の呼び名を付けたのだった。
その名は、嵐組…と。




おまけ。
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