アビス小説
□How to mistaken eat chocolate.
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コツッ コツッ
無機質な建物の廊下に響く靴音。
音の主は建物の最奥に仕事で籠もっているであろう人物に会うため、足を向けていた。
「大佐、ガイです。失礼しまー…って何だこりゃ?箱の山が出来てるじゃないか…」
ガイと名乗った青年は入口に突っ立ったまま、眼前に広がる大量に包装された箱の山を見て思わず息を飲んだ。
「ガイですか。丁度良い、とりあえず中に入って下さい」
「ジェイドの旦那?なんだ、居たのか。返事がないから留守なのかと思ったよ。それにしてもこの山はどうしたんだ?」
チョコの山をかき分け、声のした方へと進むと部屋の主であるジェイドが居た。
「私に、と一般市民の女性が宛てたチョコですよ。巡回中の従卒が預かってしまい、それを私の執務室に置いていったんです。女性からの好意は有り難いのですが…このままでは執務が差し支えて仕方ありません」
それもその筈、ジェイドの部屋の半分はチョコの箱で殆どが埋め尽くされ、当然の如くデスクの上にもチョコの山が積まれていた。