緋語り
□『ある晴れた金曜日』
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仕事の合間を縫って、お忍びで此所に来たと言ったジャクリーンをもてなす為に買い出しに出掛け、万太郎の世話役のミートは不在だった。
普段、女の子好きで名高い万太郎も慣れぬ女性からのアプローチにタジタジとするばかりだった。
「あのね、巨乳ちゃん。こういう事は好「えぇ。貴方だからですわ、万太郎」
万太郎の言葉を言い終らない内にジャクリーンは即答し、クィッと顔を万太郎に近付ける。
「順番…ってモノがあるでしょ?」
万太郎は顔を朱く染めて、くりくりの大きな瞳でジャクリーンの瞳を見つめる。
「順番?欲しいモノはどんな手を使っても手に入れるだけですわ」
万太郎の反応を楽しむかのようにジャクリーンは、万太郎の顔のラインに指を往来させる。
「…どうしてボクなの?」
首を傾げる万太郎の耳元にジャクリーンは、顔を寄せる。
「女と云うモノは人間であれ、超人であれ、より強い精子を求めるのですよ」
ジャクリーンは歌うように万太郎の耳元で囁くと万太郎の頬に軽くキスをした。
ピクリと万太郎の体が微かに動く。