灰色語り
□極短『夢風味』集。
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【猫】
まるでネコだと思う…
ソイツはフラリとやって来て、甘えたかと思えば、フラリと消える…
「ねこだ、ネコ!」
「…何の話よ、Jr.」
居ないと思ったソイツに、ギュッと背後から抱きつかれた。
「気まぐれだから、お前はネコ」
顔を上げれば、間近にソイツの顔がある。
「…嗚呼、寝子!」
なんかオレの耳には違う意味に聞こえたが…
「Jr.。タマッてんの?」
「ハァ?」
仕方ないなぁとソイツは、シャツを脱ぎ始める。
「オレは、動物の猫だと言ってんだ!」
ソイツのシャツの前を閉め、オレは真っ赤な顔でそう告げる。
「…Jr.ってば、カワイイ」
チュッとソイツは、オレの唇を奪い、オレに背を向ける。
「…帰るのか?」
ソイツに尋ねれば、
「寄っただけ」
と答えが返る。
やっぱり、猫だ……
そう確信した日。
2005.04.10