灰色語り
□『エイプリルフール』
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「…、万太郎」
「なぁに?」
やっとの事で、言葉を出したケビンを万太郎は、自称、つぶらな瞳で見つめる。
「…本気か?」
「本気!」
はっきりとそう述べた万太郎に、ケビンはジリジリと近付き…
ケビンは、万太郎に跳びかかる。
万太郎は、とっさにケビンを避けた。
「なぜ、避けるんだ、万太郎?」
仮面から覗くケビンの瞳が細められる。
ケビンが万太郎に近付くと、万太郎は1歩下がる。
2人は、暫くそれを繰り返し、万太郎が背を見せて、ケビンから逃げ出す。
「待て、万太郎!」
逃げた万太郎をケビンは追う。
「ごめん、嘘だよ!」
泣きながら、必死に逃げる万太郎と―
「関係ない!」
万太郎を高笑いしながら、追い駆けるケビンが―
その日、大勢の人に目撃されたのは、言うまでもない。
【教訓】
嘘をつく相手を見極めましょう…?