灰色語り

□『エイプリルフール』
2ページ/4ページ

 
「…、万太郎」

「なぁに?」



 やっとの事で、言葉を出したケビンを万太郎は、自称、つぶらな瞳で見つめる。



「…本気か?」


「本気!」



 はっきりとそう述べた万太郎に、ケビンはジリジリと近付き…




 ケビンは、万太郎に跳びかかる。



 万太郎は、とっさにケビンを避けた。



「なぜ、避けるんだ、万太郎?」



 仮面から覗くケビンの瞳が細められる。



 ケビンが万太郎に近付くと、万太郎は1歩下がる。



 2人は、暫くそれを繰り返し、万太郎が背を見せて、ケビンから逃げ出す。



「待て、万太郎!」



 逃げた万太郎をケビンは追う。



「ごめん、嘘だよ!」


 泣きながら、必死に逃げる万太郎と―


「関係ない!」


 万太郎を高笑いしながら、追い駆けるケビンが―



 その日、大勢の人に目撃されたのは、言うまでもない。




【教訓】

 嘘をつく相手を見極めましょう…?
 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ