灰色語り
□ねぇ、気づいてよ
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窓の外は雨―
ぽつりぽつりと黒い雲が落とすモノは、泣けない私の代わりに流す涙の様だ。
硝子に映る貴方は、小さく可愛い女の子と楽しそうに じゃれあって…私の存在など無いみたい。
ただ捲られるだけの雑誌がパラパラと音を立てても、貴方は此方を見ようともしない。
話し相手の女の子が席を外し、貴方は彼女の消えた扉を黙して見つめている。
静寂…私と貴方の呼吸音と硝子に雨が叩きつける音しか聴こえない。
こんなに近くに居るのに、貴方はとても遠い超人(ヒト)
「ねぇ、スカー…」
私が小声で貴方の名を呼ぶと貴方は やっと硝子に映る私を見る。
だけどスカーはあの子の時みたいに笑ってはくれない。
ねぇ、気付いてよ。
私は貴方が好きすぎて今にも壊れてしまいそうなの。
ねぇ、気付いてよ。
私を生かすも殺すも貴方次第…。
貴方の手のひらで舞うだけだって。