白夢語り-1
□『仮宿』
3ページ/6ページ
流れついた名も無き惑星で―
一人の女に惹かれた。
女は身重だったが、生気も感じられぬ程、弱っていた。
「あなた、だぁれ?」
『……………』
普通であれば、感じる事は出来ても、視る事は出来ないはずの自分に、女は気が付いた。
女の死期は足音を立て、近付く。
「…死神さん?なら、この子だけは助けて…?」
己の命より、子の命を優先にする女の考えは、理解しがたい。
気まぐれ―
女の体内へと入りこみ、女の器官を刺激し、生気を与える。
ついでに…
女の死にかけた子を仮宿と定めた―
『使い物』に成らなければ、廃棄すればよいのだから……。