天網恢々
□紅之館 第二章
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「こちらが食堂になります」
扉を開けて中に入ると、まず大きな長テーブルが目に入る。
そして扉の正面にはこれまた大きな窓。
左右にカーテンが括り付けてあるが、今は開け放たれている為景色が一望出来る。
「すごーい!海が見えるんだね」
「ん?この下は断崖絶壁か?」
窓から下を見下ろしながら聞くとそうだと言われた。
崖っぷちに館が建っているのか。
危ないな…。
「あの扉から厨房に繋がっています」
春子が食堂を入って左、窓側にある扉を見て言った。
「今は専属のシェフ、岡誠二さんがいらっしゃると思います」
「専属のシェフなんているの?」
「はい。彼の作る料理は中々のものですよ」
操が楽しみだと騒ぐ。
「その岡誠二って人に話を聞く事は出来るかな?」
「少しお待ち下さい」
そう言って春子は厨房に続く扉の向こうへ消えて行った。
「皆に話は聞きたいんだよねー。10年前の事件の事と薔薇園にあるビーナス像。それと牙蛇湖に棲む大蛇の話…かな?」
「ああ。その3つが今の所主だな」
浅野義晴からの招待状
紅館惨殺事件
血染めのビーナス像
牙蛇湖の主 白の大蛇
全てが謎に包まれている。
まあ牙蛇湖の大蛇は単なる迷信だろうが。
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