天網恢々

紅之館 第五章
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「もう嫌や!」

皆厨房を借りて手を洗っていた最中、突然ヒロナが叫んだ。
皆がそちらを振り返る。

「何で観光に来て殺人事件に合わなあかんのよ!」

「そ‥そうですね。この中に殺人犯が居るかもしれないですし」

次いで純平が物騒な事を言い出した。
それに皆頷き、口々にそうだと言い始める。

「雄哉を……殺した奴がこの中にいるって言うの?ねえ…誰なのよ!?雄哉を殺したのは!返して‥返してよ!」

夏帆が錯乱状態に陥ってしまった。
それを春子と秋子が宥めようとするが押しのけられてしまう。

「あなた達となんか居られないわ!私は部屋に籠もる!」

「待て!」

「放っておいて!大体あなたが犯人なんじゃないの!?死体を見ても冷静でいられるなんて!現場検証だと言って証拠を片付けていたのなら!?」

夏帆が叫んだ言葉に皆唖然とする。
そして皆が私を見た。
……この状況下だと下手に弁解すれば言い訳だと言われるだろう。
どうすれば…。

「皐月はそんな人間じゃないよ!」

私が何か言う前に操が皆に向かって叫んだ。
操…。


「操ちゃん、共犯者…じゃねぇの?」

「「「…!?」」」

だがそれを遮るように悠介がとんでもない発言をした。
皆が驚き、私と操から少し離れて距離を取った。

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