天網恢々
□紅之館 第四章
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今の応接室は誰もが夏帆に注目している。
真意の程は定かではないが、夏帆が雄哉と姉弟だと言ったためだ。
と、いう事はだ。
10年前に雄哉と夏帆が二人で泊まった事は、姉弟だったからだとでも?
10年前の事件のアリバイでも、雄哉と夏帆は飲酒をしていた。
後で本人達に確認する必要があるな。
「では聞くが、何時から何時まで一緒に居たんだ?」
「確か…夜中の12時過ぎに雄哉が私の部屋に来て、午前5時頃戻ったわ」
「証明出来るんですか?貴方達が姉弟だという証明が」
私と夏帆の会話を遮って、純平が割り込んで来た。
純平は仕切りにハンカチで汗を拭いている。
「………出来ないわね」
純平の問いに、夏帆はうなだれながら答えた。
まあ、普通に考えて戸籍謄本等を持ち歩いている人はいない。
「何で雄哉は夏帆の部屋を訪ねたの?」
操が話を戻して言った。
「…お酒を飲み交わすためよ。琴美が寝てしまったけど、自分は眠れないから呑もうって」
「それは本当か?」
雄哉に尋ねると、雄哉は小さくだが頷いた。
それを見て私はどう判断すべきか迷った。
だが、迷っている場合ではない。
「一先ず状況を整理したいから皆何をしていたか教えてくれないか?」
「それは…アリバイ確認ですか?」
「こんな所でアリバイなんて聞かれるとはな」
春子と悠介に言われ、肯定する。
「因みに私は部屋で寝ていた」
そして先に自分の状況を明かした。
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