天網恢々
□紅之館 第一章
1ページ/11ページ
「「ようこそ紅館へ」」
館の中に入ると、見事にハーモニーした二人の若い女性の声が耳に飛び込んで来た。
年齢は私達と変わらないだろう事が伺える。
まあ大幅に言っても20〜25ぐらいだろう。
二人の女性は全く同じ顔をしており、とても直ぐには見分けがつかない。
服装も全く同じでメイド服のようなものを着ている。
当たり前か…メイドなのだろうから。
「本日より紅館でお世話をさせて頂きます、市川春子と申します」
「同じく秋子と申します」
二人はチョコンとお辞儀をして言った。
二人共背中辺りまであるであろう黒髪を頭上の方で捻りながら巻き、止めていた。
成る程、あれならば仕事の邪魔にはならないだろう。
「市川さん達は女性4人の4つ子なんですよ」
軽快に笑いながらサラッと言う安藤。
4つ子…か。
という事は、残る二人は夏子と冬子…。
憶測を秋子だか春子だかどっちか解らないが、双子の二人に問い掛けてみる。
「はい。その通りです」
「私達4人は四季の名前を付けられています」
当たりか。
.