天網恢々

紅之館 第四章
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「うち等は晩ご飯食べてからずっと部屋におったで。ほんで寝とったらその兄ちゃんの叫び声が聞こえて来て、慌てて飛び起きたんや」

「うちは慌てたヒロナに起こされたんや。叫び声で起きんかったみたいで。ほんで二人で駆け付けてん」

「私達は夜中の1時頃に就寝して、安藤さんが扉をノックする音で起きました」

「そして他の皆と駆け付けたんです」

ヒロナと由利の後に春子と秋子が言った。

「他の皆とは?」

私の問いには安藤が答えてくれた。

「私共紅館の使用人です。私は仕事があるでいつもこの時間には起きているのですが、着替えを済ませて部屋を出ようとした時に叫び声が聞こえて来たんです。そして他の者を皆起こして駆け付けました。因みに昨夜は1時半頃就寝しました」

安藤の話に市川姉妹と誠二が頷いた。
…これで一応は皆のアリバイを確認出来た事になるが。
どうも曖昧過ぎる。


操、ヒロナ、由利、純平、市川姉妹、誠二は私を含め皆就寝中。
悠介、しおりは悠介の部屋にて情事。
被害者である琴美の夫である雄哉は夏帆と、夏帆の部屋にて飲酒。
殆どの者が日付が変わってからのアリバイがない。

…身内同士や友人・知人のアリバイは宛にならない。
嘘を吐く可能性があるからだ。

それにしても犯行が可能な人数が多過ぎる。
言い換えればここに居る全員が犯行可能という事になる。

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