Poem

□死について考えてみた
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死について考えてみようと思う。

きっと誰もが、それについて考えたことがあると思う。
きっと誰もがそれを恐ろしいことだと思ったことがあるはず。
そして、ほとんどの人が“それ”を見たことがある。
だけれど、これを読んでいる人(書いている私も含め)は誰も“それ”を体験したことなんてない。
それでも、人は“それ”がどんなことなのか想像したりする。
そして、“それ”が起こった後のことに想いを巡らせて、“それ”が起こった時に備えて、良いことに励んだり、神に許しをこいたりする。

“それ”がいったい何なのか誰一人として知らないはずなのに、「“それ”に近い体験をした」という人もいる。
“それ”は誰にでも訪れて、“それ”から逃げることはできなくて、そして、時に人は見知った今を捨ててまだ知らぬ“それ”へと逃げる。
その行為は、未知なる可能性への歩みなのか、知りすぎて、単純すぎて複雑な“ここ”からただ逃げるための歩みなのか…。

“ここ”は常に“それ”と対照視される。
皆が知っていて、今まさに体験していて、それなのに皆そのことをまるで忘れている。
“ここ”にいられなくなった時、“それ”へ向かいそうになった時、人間は“ここ”にまだいたいと願う。



“それ”とはつまり“ここ”にこそあるものなのかもしれない。

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