Reach out to the truth

□04話
1ページ/5ページ









大切な人達に差し迫る魔の手。
 
 
 
 
守るため私は盾となろう。驚く2人の顔。只、今はそれだけで嬉しい。生きていることが。



間に合って良かった…。
















「サヤなんでここに!?」

「バ…バカ野郎!なんで来た!?逃げろっ!コイツはヤバいんだ!」
 
『……知ってる。』

「何奴…。」



サングラス越しの鋭い目がサヤを捉える。

その鋭い眼光がひしひしと突き刺さり、背筋を震え上がらせるほどに。エド達の焦る心が私にも伝わる。どうやら目の前にいる奴がスカーで間違いないようだ。


二人に背を向けたまま、私は顔だけを振り向かす。

そしてニコリと微笑んだ。



「サヤ…。な…何してる!早く逃げろって…」 


『──無事で良かった…』


「「…!」」


恐怖が消え去る事を願って、サヤの優しい微笑みは二人に少し安心感を与えた。

逃げろと必死に伝えているのに。サヤはエドワードの前から決して動くことはなく。
雨で冷えたエドワードの身体に私は自分の上着を肩に掛けた。



ふわり…、と上着にまだ残る温もりにエドワードは雨で冷えきった身体が芯から暖まる気がした。 


そして、スッと笑みを失せサヤはスカーを見据えた。殺意を丸出しにする奴に心臓が煩く暴れる。手が微かに震えるのを隠せない。





「我の邪魔をするか…」

『殺すなら私を殺せ…。だが…、貴様も殺す。』



前者は本心。エドワードとアルフォンスは殺させない。後者は強がりという名のやせ我慢。

銃すら持ってもいない丸腰の相手にふつふつと恐怖心が沸き上がってくる。
助けに来ておいて格好がつかないな。と心の中で笑う。





「邪魔をする者は、排除するのみ。」


『……っ』



ゴキンッ…と錬成反応をする右腕が襲ってくる。ここにいてはエドワードとアルフォンスにまで被害が及んでしまう。

離れなければ、とスカーの攻撃を紙一重で避けながら徐々にエドワード達から遠ざかって行く。
スカーは背丈のある体格のわりになかなかのスピードの持ち主だ。
一撃一撃がものすごい速さと威圧感。

だが、




『(避けれないスピードじゃない…っ。)』



「(戦い慣れている…、一体何者…。)」



先ほどの少年らとは身のこなし方がまるで違う。戦いに慣れている。己れと相対した時も怯むことなく挑んでくる精神力。
妙なやつだとスカーは思う。


サヤはスカーの攻撃の手をなんなくかわし攻撃に転じず、ずっとそれの繰り返し。まるで時間を稼いでいるかの様。


するとスカーが破壊したコンクリートの破片が額をかすってしまい血が流れた。
目に入って仕舞わぬように片目を閉じる。

しかし片目だけでは距離感が狂い満足に戦えず。


 
『─はっ!』


「ふんっ!」



屈んだ身体の上をぎりぎりスカーの蹴りが掠る。


.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ