短編

□こんな子いるかな
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「先輩って、好きな人とかいますか?」
『好きな人?考えた事もないなぁ。』
「そういうのに興味ないんですか?」
『馬鹿にするな!』
「いや、馬鹿にしてな…」
『私だってそれ位いる!』
「誰ですか?」
『………、いや、その………、』
「いないじゃないですか。」
『そんな事な…』
「いないならいないでいいんです。ちょっと聞いてみただけなんで。」
『なんだなんだ、そうゆう三之助はいるのか?』
「まぁ、一応。」
『どんな子だ?』
「真面目でしっかりしてて、頼りになるけどたまにぬけてて。照れ屋ですぐ赤くなるんですけど、その顔がまた可愛くて。
ずっと一緒にいたいなって思う子です。」
『滝夜叉丸か?』
「違いますよ!なんでですか!」
『だって、滝に当てはまるところが多いだろう?』
「…そうですか?」
『うん!!』
「でも違いますから。」
『そうか?』
「そうです。」
『ふ〜ん。三之助はそういう子が好きなのか。』
「はい。」
『なるほどなぁ。』
「先輩だって、好きな人がいなくても、好み位はあるでしょ?」
『好み?』
「こういう子が好き!みたいな。」
『う〜ん、好み、好みかぁ…。』
「性格とか、外見とか、何かあります?」
『あ!私、髪は長くて綺麗な子がいいな。』
「そうそう、そういうのでいいんです。」
『あと、目はぱっちりしてて意志が強そうな感じ。ちょっときつそうな顔が好みかな。』
「ふんふん。」
『それから、背は私より低い方がいいな。見上げてくれる瞳が可愛いから。』
「なるほど。」
『そうすると、やっぱり年下がいいかなぁ。』
「結構出ましたね。じゃあ性格はどんなのが好きですか?」
『やっぱり、私を理解してくれる子がいい!』
「ふんふん。」
『私の良い所は褒めてくれるし、ダメな所は叱ってくれたらいいな。』
「なんか、お母さんみたいですね。」
『そうか?いいと思うんだけどなぁ。
…あと!強がりだけど実は気にしいだったり、努力家だったり、面倒見が良くて困ってるやつを放っておけなかったり。頼まれると断れないお人好しな奴で、ちょっと無理そうな事でも、一度引き受けたら最後までやり遂げる奴!』
「……。」
『自分の事を一杯話してくれる奴で、いつも私と一緒にいてくれたら嬉しいな!』
「………。」
『そういう奴が私の事を好いてくれたら最高だ!』
「……。」
『あれ?どうかしたか三之助?』
「…、それ、本当に"好み"なんですか?」
『そうだよ?外見や性格がこうだったらいいなぁっていうのが"好み"だろ? 』
「好みと言うには具体的過ぎません?特定の誰かを想像しているとしか……。」
『えぇ!?だって私好きな人なんていないよ?』
「本当ですか?俺、先輩の好みにしっくりくる人、かなり心当たりあるんすけど……。」
『えぇ!?だれだれ!?』
「…………、滝夜叉丸先輩……です。」
『えぇ!!私、滝の事好きなの!?』
「いや知りませんよ!知りませんけど、いつも先輩が滝夜叉丸先輩に対して言ってる事そのままだったんで……。」
『………。』
「先輩?」
『……、三之助。』
「はい?」
『三之助の好きな奴、滝じゃないんだよな?』
「違いますって!」
『…本当か?』
「だから違います!!」
『………なぁ、三之助。』
「なんですか?」



『………滝、私の事どう思ってるかなぁ?』













 

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