REBORN-Text

□Love*detour
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奥手で不器用な王子様は。


ミーが女の子だって知った途端に態度が変わったような気がします。


「センパーイ」

「なんだよ」

いつもミーがセンパイを呼ぶと「あぁ?」とか「ぁん?」とか不機嫌丸出しで…
何より喧嘩腰なんですが…。
こうも普通に返事してくれるのが本当に信じられないってゆーか…。

それに、
あれだけ散々投げてきたナイフも。
何か事あるごとにミーの背中へ刺したくせに最近は少なくなりましたー。


「本当…不気味ですよねー」
「それ…オレに対して言ってんならサボテンにしてやろっか」

本当。
言葉よりナイフが先なのに…。


「センパイが無駄に優しいから…明日は雪かなーと」


流石に殴るだろうと思ったが、小さく小突ぐらいで終わった。


いつもは本気で殴るくせに。


「当たり前だろ?オレ王子だもん。」



王子ねぇー…。



王子は王子でもやっぱり堕王子だけど。










そんな嫌ー…な堕王子との任務。



「お前はそこで待ってな」


突然移動中の木の上で、そう言われてミーは立ち止まった。

「…でも。ミーだって任務が…」
「共有のだろ?オレひとりで十分だって言ってんの」


そうとだけ言って、ひとりで走り去ってしまったベルセンパイ。



「本当、気味悪い…」


溜め息ついて木に座り込むと、センパイが走り去った方角は赤に染まる。


―きっと、センパイが匣を使ったんだ。


「ちぇー。折角来たのによー」


前にも似たような事を言った気がするけどミーは気にしない。
頬っぺたに空気を入れて高見の見物をしていたら一通り片付けたセンパイの声が下から聞こえてきた。


「ししっ、女が言うセリフでもないだろ」



「あ、もう終わったんですかー」



結局。
ミーの出る幕は無かったと言うことで、

任務はあっさりと終わってしまった。




「ししっ。何、ふて腐れてんの」

「べっつにぃー。ふて腐れてなんかいませんよーだ」

「ちょっとは可愛く言えって…ししっ」


ワザとらしくミーが言ったけど、
センパイは笑いながらダメ出ししている。
大体何でセンパイに可愛さ求められなきゃいけないんだろ。


そんなもやもやだけがミーの中に積もって部隊に戻った。






















「はぁ…。ぶっちゃけミーは行かなくても良かったんじゃ」

「いんや」

溜め息を着いて見上げたら、センパイが近寄ってきて…。


「…?!」



「こーゆの出来ないだろ?」



任務があるとお互い離れ離れだから…。
って言うけれど、


「っ…え!」

「ししっ、顔真っ赤。かっわいー」

そう、笑いながらミーの頬っぺたをムニムニしてきた。



















―側にいるだけで十分とか。


センパイはずるいです…。














彼は、遠回り_愛を囁いた。








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