小説

□息をするように恋をした
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アレン達の前に現れたティキとロードを苦戦しながらも倒した

もう…時間が無い

箱舟が崩壊する前に、どこかで足止めをくってる神田とクロウリーを助けなければ…!



「アレン君、扉があっても…自分だけ入らない気でいる?」

「え?」

リナリーが心配そうにアレンを見つめる

しばしの沈黙…が流れる



「えッ!?さすが……」

リナリーの鉄拳がアレンの頭を直撃した

「さすが…ッ、じゃないッ!!」

アレンの右半分に大きなたんこぶが出来上がる

「い…痛いです。リナリー…なんか足使えなくなって凶暴になりましたね」

右半分に出来たたんこぶを押さえながら、リナリーに話し掛ける

「うるさい」

少々怒り気味のリナリー



アレンは箱舟が崩壊する前に神田とクロウリーを探しに戻ると言う

それに対してリナリーは

「私も!」

「リナリー達は先に外へ」

「でも…」

「この中で…僕が一番まだ動ける」

いつものように、にっこり微笑むアレン



アレンの微笑みの真実に気づき、リナリーは眉を八の字にする

「辛いこと、言ってるのはわかってます。でも……聞いて下さい」

アレンの気持ちを痛いほどわかっているのに……

わかって…いるのに

涙が滲み出る



「ひどいって、思ってるよ。アレン君は…いつもそうやって笑う」

アレンは困った顔になりながら、右腕を伸ばしリナリーの左の頬をそぅっと撫でる

「人が……どんな気持ちになってるか、わかってて笑うんだから」

涙を流しながらリナリーは言葉を続ける

止まらない悲しみに溢れる雫が床にポタポタ零れ落ちる



「でもね」

リナリーの頬を撫でていたアレンの右腕を下ろし指先に触れる

「私がアレン君の考えてることがわかったのは…私が、アレン君と今同じ立場だったら」

リナリーは涙の筋の跡が残りながらも満遍(まんべん)の笑顔を見せる

「同じことを私もすると思うから」

ゆったりとした空気が流れる



何故だろう…

リナリーといると本来の自分がさらけ出せる

隠さなくても、拒まれない



触れて掴んだ指先は、何かに怯えるように…微かに震えていた

「ホームに……みんなで……帰りたいもの」



息をするように恋をした



(うん、必ず。教団へ……僕等のホームへ帰ろう)












お題拝借、9円ラフォーレ様


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