日和
□知らぬは本人たちばかり
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「もういい加減諦めてくださいよ!!」
「何言ってるんでおま!! 私は摂政だぞ!! 普通妹子が譲るだろ!」
「アンタ歳の差考えろよ!」
「ふんっ! 愛さえあればそんなもの関係ない!」
「じゃあ愛は無いんで、諦めてください。」
「ヒドッ!! お芋のくせに!!」
「誰が芋だ、カレー野郎!」
そんなジャージ姿の二人の声が部屋一杯に響き渡る。
だがそんなものはもう日常茶飯事で、周りの反応はというと
@無反応
Aはっ今日もかよ…、な溜息
B同情の視線
このどれかに当てはまり、得に目立った反応は見られない。
周りの人間が黙々と仕事に励む中、声がピタリと止まった。
「こ、これ以上話しても、埒が明かん…。」
「もう名無しさんに直接聞きに行きましょう。」
「む。望むところだ妹子!」
そして二人は名無しさんのところへ向かい、皆は安堵の溜息を吐くのである。
「「名無しさん!!!」」
「…あら、どうしたんですか、二人とも
何か御用ですか?」
「単刀直入に聞きます!」
「私と芋、どっちが好きだ!?」
「だから芋じゃねぇ!!!」
「おいもっ!」
妹子の 妙に痛いパンチ が きまった ! !
「うふふ。お二人とも、いつも賑やかですねぇ」
「あ、パンチの所為で忘れるところだった!
で、どっちが好きだ!?」
「え、お二人のどちらか…ですか?」
ごくりと息を飲む。い、一体どちらを…
微笑みながらゆっくりと口を開く。
「あら、そんなの決まってます。」
((ど、どっちだ…!!))
「お二人とも大好きですよ。
こんな素敵な方に会えて、私は幸せ者です。」
「…え」
それはどちらが発した言葉だっただろうか。
両方かもしれない。
それに気づかずニッコリと笑う名無しさん。
「それでは、私は仕事がありますのでこれで。
失礼します。」
そう言うや否やそこを早々と立ち去る名無しさんの背中を、二人はどうしていいのものかと固まりながら見つめた。
「え…、もしかして僕たち…恋愛対象外?」
「あれ、名無しさんどうしたんだ?
顔真っ赤だぞ。も、もしかして風邪か!?」
「い、いえ、なんでもありませんっ!!」
(〜〜〜っ///
勘違いしてしまいそうだから、あんなこと聞かないでほしいです…!)
知らぬは本人たちばかり
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