書物
□夕焼け色
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「もっくんの瞳は夕焼けの色と同じだね。夕陽を切り取ったみたいな綺麗な色。夕焼け色も、もっくんも優しくて暖かい。」
「辛いこと、痛いこと覚えてなくていいよ。」
その子の名は――――。
「もっくん?寝てるの?早く来ないと置いてくよ。」「あぁ。今行く。」
その子の名は――――。
昌浩、お前が俺に光をくれたんだ。
まだ小さかった頃。
きっとお前は覚えていないだろう。
だが、それはほんの些細なことで大きなこと。
お前がくれた光に、俺は救われた。
今度は俺が、昌浩が道を踏み外さないように光を照らし続けよう。
俺と誓ったあの約束を―。
「誰も犠牲にしない陰陽師になる!」
その言葉を――――
違えないように――…。
End