書物
□紅葉狩り
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それは晴明の突然の一言から始まった。
朝餉の席でいつものように食べているとき、
「今日は皆で紅葉狩りに行くから用意しとくんだぞ、昌浩」
朝餉を食べ終わった晴明が言った。
「彰子様にも伝えてある」
「えっ、ちょっと待って、じい様。俺今日出廷なんですけど」
「それなら物忌みにしておいた。だから今日は行かなくても良い。ちゃちゃっと用意するように」
そう言うと晴明は部屋を出て行った。
「物忌みって…。」
「抜目ないな、晴明」
「敏次殿にまた怒られないかなぁ」
「あんなエセ陰陽師はどうでもいいっ!それより早く食べて用意しろ。また晴明に言われるぞ」
そのことを指摘され急いで残りを食べ始めた。
数刻後―――
晴明、昌浩、彰子が門前に集まる。
するとそこに、成親と昌親がやって来た。
「おじい様、お久しぶりです」
「元気にしてたか、弟よ。藤花殿も元気そうだね。」「兄上っ!どうしてここに?」
「私達も誘われたんだよ。出廷だと言ったら物忌みにしておいたと言われてしまってね」
「ま、俺は休みが貰えて良かったがな」
「大丈夫なのか、陰陽寮。歴博士も天文博士もいなくて」
もっくんが呟く。
「何とかなるんじゃないか?1日くらい大丈夫さ」
「…ま、いいが」