書物


□紅葉狩り
1ページ/2ページ






それは晴明の突然の一言から始まった。












朝餉の席でいつものように食べているとき、



「今日は皆で紅葉狩りに行くから用意しとくんだぞ、昌浩」


朝餉を食べ終わった晴明が言った。



「彰子様にも伝えてある」
「えっ、ちょっと待って、じい様。俺今日出廷なんですけど」
「それなら物忌みにしておいた。だから今日は行かなくても良い。ちゃちゃっと用意するように」



そう言うと晴明は部屋を出て行った。



「物忌みって…。」
「抜目ないな、晴明」
「敏次殿にまた怒られないかなぁ」
「あんなエセ陰陽師はどうでもいいっ!それより早く食べて用意しろ。また晴明に言われるぞ」



そのことを指摘され急いで残りを食べ始めた。




数刻後―――



晴明、昌浩、彰子が門前に集まる。


するとそこに、成親と昌親がやって来た。



「おじい様、お久しぶりです」
「元気にしてたか、弟よ。藤花殿も元気そうだね。」「兄上っ!どうしてここに?」
「私達も誘われたんだよ。出廷だと言ったら物忌みにしておいたと言われてしまってね」
「ま、俺は休みが貰えて良かったがな」
「大丈夫なのか、陰陽寮。歴博士も天文博士もいなくて」



もっくんが呟く。



「何とかなるんじゃないか?1日くらい大丈夫さ」
「…ま、いいが」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ