書物
□昌浩の想い
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初めて逢ったのは、藤原家の邸。
「だぁれ?」
と、不思議そうに問い掛けてきた。
「彰子よ。一の姫なんて呼ばないで。」
真っすぐな瞳で言った。
強い呪詛で苦しみながらも
「私は大丈夫。」
と、平気なふりをする。
「陰陽師が――昌浩が守ってくれるもの。」
願いを込めた言霊が今もずっと心の中に在り続ける。
あのひとは――――。
とても、優しくて
とても、あたたかくて
とても、強くて
そして…とても脆いひと。
何度も救われて、癒されて。
一生守ると約束した。
その為に強くなる。
俺にとって大事なひとは。
End