架けた流星

□【真正面から】
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ギィイイイ…バタンッ…


老朽化している重いドアを開けて、ある場所にやって来た。
周りを見渡すと私の町や、家も、見付けることができる。

なんの隔たりもないここは、学校の屋上。
昼休みなんかはよくここで、雪と一緒に過ごしていた。
何かをするわけでもなく、雪が隠れて持ち込んだお菓子を食べながら。
ここから見える景色や空をただじっと眺めて、ぼんやりして、お喋りをして過ごすのが、すきだった。

今もそれを思い出しながら。鉄格子に腕を置き、持たれながら上を見つめていた。
“空を見てるだけで、時間がゆっくり流れる感じがするから好き”とか大人っぽいこと、雪はよく呟いてたな。

私の頬から涙が滴り落ち、鉄格子に跳ねた。


思い出にしたくなかった。
これからもずっと続くと思ってたのに。
私と雪の思い出は白紙になってしまった。

「ううぅ…ぅわああぁ…ううッ」


ギィイイイ…
『美笠さんの、バカ野郎!!!!!!!!!』

「!!!このっ…!!!!???」
咄嗟に反抗した、が、

後ろを振り返ると、思ってもみない人物が、そこに立っていた。
涙ではっきりは見えないが、目が赤く腫れて、さっきまで泣いていた。

神山雪だった。



「ゆ…き・・・なん、で・・・・?」

『それと、ごめんね忘れちゃって。
男子に言われた事も、まだ信じたくないし、信じないことにした。
で、美笠さんの態度も、すっごい傷ついたけど、私も記憶無くして傷つかせたから、いーぶんで、て事にするよ。』

「え、えっと・・・え?」

さっきまでと態度が変わった雪に驚き、返す言葉が見つからず、どうしたら良いのか分からなくなる。

『これから私があなたのこと、精一杯知って、沢山遊んだら。
そしたらまた、友逹になれるよ。だから――』


雪の発言に私との差が劇全としていた。
私は、逃げたのに、裏切ったのになんでそんな事が言えるの?
なんで、私に向かってこれるの?
なんで、今目の前に立ってられるの?

「私は最低な人間なの。
自分は傷つきたくないって思ってしまった。見捨ててしまった。
もう、あんたの友逹になる資格なんかない!」

これで。終わりだ。
きっと、後ろを向いて去って行くだろう。


そう思ったが。
逆に笑顔で近づいてきて、向かい合って話しかけられた。

『聞いて聞いて、なぜだか分かんないけど、美笠さんがいる場所が分かったんだ。
ずっとここで、景色を見たり、サボったり、お菓子食べたり…そんな事があったような感じがする。
私って――美笠さん?!』

ポタ・・・ポタ・・・

私の両頬から、涙が零れだして止まらなくなり。地面に落ちていった。

『私っなんか変なこと言った?』

急に泣き出した私をびっくりした顔で覗き込んできた。

私は雪に先入観を持っている事が分かった。
もう、私の事など覚えてないだろうと、決めつけていた。

最低な人間にでも、まだ手を差しのべてくれる人がいるなんて。真っ直ぐ私を見てくれるなんて。

私はもう、雪に涙を流せたくない。
辛い気持ちにさせたくない。
これからは絶対、雪を―――


「ううん…雪、あのさ
私、もう逃げない。強くなる。
記憶が戻らなくても良いから、だから
もう一度、私と、友逹になってくれる?」


『・・・えへへ、こちらこそ』




そのあと、
先生と真歩がドアから出てきたのはびっくりした、っていうか気恥ずかしいって思いもありつつ、あれこれ話した。
のちに、男子との仲も落ち着いていき。
雪と真歩とが仲良くなったりして、今に至る。




ーーーーーーーー


今まで色んな事があったけど、この前のような事がないようにしなきゃ…強くなって、二人を守れるくらいに。
真歩には弱いところ見せちゃて、心配かけてしまったから、反省しないと。

これからも雪や真歩に、もっと躍起になって、もっともっと心配性になってればいい・・・・私が疲れ倒れても、二人が笑っていれば、それでいいんだから。



この三人の関係が、ずっと続くようにと祈りながら。

私は、深い眠りにとついていく
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