「あたしは買い物してくるけど、ハリーはどうする?此処にいる?」

いくつものお店が建ち並ぶ大通りの隅に車を停め、車を降りる前にリナリアが言った。

「あの、迷惑じゃなかったら僕も行きたいです」
「迷惑だなんて。それじゃ、一緒に行きましょうか」

リナリアに促されて車を降りると、通りの賑わいが直に伝わってきた。
たくさんの店、たくさんの人。
ハリーがそれらに見入っていると、リナリアは「はぐれないでね」と言って笑った。


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しばらくリナリアと歩いていて気づいたのは、リナリアがこの大通りによく来るということと、この辺りの店の店員はほとんどリナリアと顔見知りだということだった。

「やぁ、リナ!今日は可愛い男の子連れてるじゃないか。君の子供か?」
「やぁね、ディック。あたしが結婚してないの知ってるでしょう?」
「そうは言ってもその瞳、君にそっくりじゃないか?」

このやり取りも既に何度か繰り返されたものだ。
その度にリナリアは嫌な顔ひとつせず、にこやかに挨拶を返している。
むしろ楽しそうだ。


一言あればどうぞ。



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