White Princess

□9.
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朝起きたら、雨が降っていた。


9「仕方ないだろう!?」


「雨かぁ…久しぶりだね。最近は雪ばっかりだったから」

談話室の窓から外を眺めながらジェームズが言った。

「雨だと外にも行けないしね〜」

リーマスが溜め息交じりに呟いた。

でも俺の悩みはもっと深刻だった。

「シリウス、今日はハノンはどうしてるんだ?」
「この雨のなかひとりでいるのかい?」

この二人は…まるで俺がなんも考えてねぇみたいな言い方しやがる…!

「ブラック、いる?」

二人になんと言い返してやろうか考えていると、女子寮からエヴァンスが出てきた。
俺を呼びながら。
…ジェームズの目が怖ぇ。

「ぁ、いたいた」
「ぉ、おう。どうかしたのか?」
「これ、貸してあげるわ」

そう言って差し出されたのは、薄く緑がかったカーディガン。
…ジェームズの目が光ってるぜ、ちくしょう。
……後で殺されかねねぇな、俺…。

「この前の…ハノン、だったかしら。寒そうな恰好してたでしょう。雪の寒さには慣れてるかもしれないけど、この雨の寒さはまた違うからね。持っていってあげて」
「ぁ、あぁ。サンキュ…」

どうせなら、ついでにこのジェームズもどうにかしていってくれ…!
そんな俺の心の叫びも虚しく、エヴァンスは「じゃぁね」と言って女子寮に戻っていった。

「シーリーウースー」

あぁ、悪魔の化身の声が聞こえる(現実逃避)。

「ぉ、俺ハノンのところに行ってくるから!」

ジェームズに捕まる前に談話室を飛び出した。
あとは頼んだ、リーマス…!

後でリーマスにハニーデュークスの高級チョコを一週間分奢ったことは別の話だ。


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