土×日

□二人の関係
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「日野さ〜ん。彼氏がお呼びだよ」

クラスメイトの言葉に廊下の方を見ると、予想通り土浦君。
呼びに来てくれた女子に
「ありがとう」
「どう致しまして。日野さんいいな。あんなカッコイイ彼氏がいて」
その言葉に苦笑しながら、廊下に向かう。
……彼氏か…

本当にそうだったらいいんだけど…。
今のところ、友達止まり。
土浦君のクラスメートは私の事を「土浦の彼女」と呼んでいる…土浦君の前でも。
土浦君が否定もせずに話しをスルーするので私も、そう呼ばれてもただ微笑むだけにしている。
土浦君の彼女と呼ばれる私と日野さんの彼氏と呼ばれる土浦君。
土浦君も私も否定しないから、いつの間にか周囲に恋人と認識された。

お互いに嫌いではない、どちらかというと好意を抱いているのは感じる。
それ以上の事はない。

最近、「土浦君の彼女」と呼ばれる事が嫌になってきた。
そう呼ばれるたびに、鉛でも飲みこんだかのようにムカムカしてくる。

本当は違うのだ、と叫びたくなる。
でも、口にすれば、この中途半端で居心地の良い関係も終わりを告げてしまう。
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